受験エリートの「王道」が存在する

受験シーズンまっただ中。2月から3月にかけての週刊誌は合格速報記事が目白押しとなる。

東大合格者数ランキングの上位に名を連ねる学校のほとんどは、私立もしくは国立の中高一貫校。2015年の上位を挙げれば、開成、筑波大学附属駒場、灘、麻布、駒場東邦、桜蔭、聖光学院など。

これらトップ校に入るための中学受験塾として圧倒的なシェアを誇り、ひとり勝ち状態にあるのが「サピックス小学部」だ。そしてこれらトップ校の生徒たちが大学受験のためにこぞって通うのが「鉄緑会」である。つまり、「サピックス小学部」の上位クラスの子供たちがトップ校に合格し、入学後は「鉄緑会」に入るという流れができている。

「サピックス」の名前なら聞いたことのある人も多いだろう。しかしその上位クラス出身者だけが集まるような塾「鉄緑会」については知らない人も多いかもしれない。ごく一部の超難関中高一貫校を指定校とし、東大および難関大医学部合格を絶対目標に掲げる塾である。

たとえば東大合格率ナンバーワンの筑波大学附属駒場の中学受験合格者数に占める「サピックス小学部」出身者の割合は、2015年で7割を超えている。また大学受験の最難関である東大理III(医学部)の合格者のうち6割以上が「鉄緑会」出身者で占められている。

たった2つの塾が、この国の「頭脳」を育てていると言っても過言ではない。「学歴社会」ならぬ「塾歴社会」である。その状況を私は最近『ルポ塾歴社会』(幻冬舎)に著した。