2016年2月9日(火)

総務大臣賞の「鯖江市役所JK課」 ~担当職員が語る苦悩と変化

“マネジメント”からの逃走 第41回

PRESIDENT Online スペシャル

著者
若新 雄純 わかしん・ゆうじゅん
人材・組織開発プロデューサー/慶應義塾大学特任講師

若新 雄純福井県若狭町生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程(政策・メディア)修了。専門は産業・組織心理学とコミュニケーション論。全員がニートで取締役の「NEET株式会社」や女子高生がまちづくりを担う「鯖江市役所JK課」など、多様な働き方や組織のあり方を模索・提案する実験的プロジェクトを多数企画・実施中。著書に『創造的脱力』(光文社新書)がある。
若新ワールド
http://wakashin.com/

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高橋藤憲、若新雄純=談、前田はるみ=構成
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女子高生がまちづくりを担う「鯖江市役所JK課」プロジェクトによって、福井県鯖江市が総務省「ふるさとづくり大賞」の総務大臣賞を受賞した。これを機に、JK課を担当する鯖江市市民協働課の高橋藤憲氏とJK課のプロデューサーである若新氏が、設立からの2年間を改めてふり返り、市民との連携や行政職員のあり方について語り合った。

JKは「得体のしれないもの」

【若新雄純】高橋さんがJK課の担当になって2年ですね。担当になった時は、事前に相談もなく、公務員だから拒否権もなく、JK課の担当を言い渡されたわけですよね。その時はどう思いました?

【高橋藤憲】マジか……? というのが本心でした。

【若新】不安とか?

【高橋】“JK”という得体のしれない存在が市役所を闊歩する姿を想像した時に、その後、市民がどのように反応するのか怖かったですね。

【若新】それ、面白いですね。今は高校進学率が97%を超えていて、日本の女性のほとんどがいわゆる“JK”を経験します。つまり、JKは特殊なものではないはずなのに、まちづくりにJKが関わるとなると、JKを何か「得体のしれないもの」として捉える人が多くいました。これって、何なんでしょうね。

【高橋】女子高生に対して、「つかみどころがない」と感じるんでしょうね。彼女たちとあまり接したことがないというのも大きいです。市民協働課では大学生と連携していますので、女子大生との接し方は分かっているつもりでしたが、その1つ下の世代である女子高生となると、どう接すればいいのか、難しいなと思いました。

【若新】しかも、市役所って公的なもので、なんか“聖なる場所”のようなイメージがありますしね。本当は、全ての市民が利用する権利を持っているわけですが。

【高橋】公務員は常にきちっとしてなきゃいけない、という空気はありますね。以前、市役所の女性職員2人が市内で公用車を運転中に、面白い話で盛り上がって、車内で大笑いしたらしいんです。それを見た市民が、市に通報してきたんです。「公務員が公用車に乗って大笑いしている。何事だ!」と。

【若新】公用車内で大笑いすることの是非は別として、少しでも気が緩んだり、乱れたりしただけで公務員は叩かれる世界なのに、そこにJKという得体のしれないものが入ってくる。女子高生が決して社会的に何か悪いわけでもないのに、つかみどころのない、得体がしれないものが入ってきた時に、それまであった秩序が乱れるんじゃないかという不安があるわけですね。だから、一方的にルールや規律を押し付けようとしてしまう。若い市民や若い女性に公共活動やまちづくりに関わってほしいと言いながらも、市役所はますます行きづらい場所になりますね。

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