2016年1月31日(日)

経営トップが続々、生け花を習い始めたわけ

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PRESIDENT 2016年2月15日号

野崎稚恵=文 永井 浩=撮影
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有名社長たちは何を考えているか

社長が生け花を習いはじめた――。こう聞いたら、「突然どうしたのか」と首をかしげる人のほうが多いだろう。生け花には大和撫子的なイメージがあり、一見、会社経営との関係性はないように思える。しかし「経営力が磨ける」として、多くの有名企業の社長が次々と生け花をはじめているのだ。

都内で開かれた「ビジネスリーダーたちのいけばな展」。

そもそものきっかけは、生け花文化の存続危機だった。生け花人口の減少から、アルバイトをしてなんとか家を維持している家元もいるという。そんな現状を打開するため、草月流生け花作家の州村衛香氏は「Flower Japan」というプロジェクトを立ち上げた。そして、2015年11月「直観力、判断力、決断力、創造性、俯瞰の眼など、生け花とビジネスには共通点がある」として、考えに賛同したリーダーと、「ビジネスリーダーたちのいけばな展」を開催したのだ。

10年から中学生の息子とともに州村氏の教室に通っているのは、青井浩・丸井グループ社長。

「生け花を通して、奥行きや幅など、あらゆる物事を立体でとらえる目を磨いています。この目で経営をとらえれば、お客様、取引先、地域社会、株主、我々というマルチステークホルダーが立体的に浮かび上がってきます」

青井氏の作品テーマは「静かさと調和」。繊細な心配りで全体を俯瞰する経営の奥義が垣間見える。

「日本のよさを海外に広めていけたら」と生け花を習いはじめたのは、程近智・アクセンチュア会長。「生け花は我慢の連続」という程氏が、頭の中を全部吐き出すようにして作り上げた作品が「論語と算盤」である。

「経営は、論語と算盤、すなわち倫理と利益の両輪が複雑に絡み合っている。利益に偏り、わがままや邪念にとらわれそうになるものですが、最後には倫理が勝たなくてはいけない」

程氏は、企業の不祥事が目立つ中、ビジネスリーダーが立ち戻るべき原点を生け花で示していきたいと語る。

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