2016年1月25日(月)

これから当たるビジネスをどう見つけるか

日本が変わる、自分が変わる全課題

PRESIDENT 2014年1月13日号

衣谷 康=構成 尾関裕士=撮影
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赤字もOK!「恩返し」に期待

KDDIの企業理念に「外を見て内を知る」という言葉があります。自分たちの業界にこもって仕事をしていると、どうしてもその世界の常識でものを考えがちになります。いまやそんな内向き志向では5年後に稼げるビジネスの種など見つけることはできません。

通信会社も、扱う端末やネットワークの質に大きな差異はなくなってきています。業界の外側にいる人や企業と積極的にコミュニケーションを取って、自分たちの枠を押し広げていく必要があります。

外を見るために当社が行っているのは、「ムゲンラボ」と「KDDIオープンイノベーションファンド」(以下、KOIF)です。

ムゲンラボは、学生を含むシードベンチャー(立ち上げ直後のベンチャー企業)を育成するためのプログラムで、2012年に始まりました。約100社の応募企業の中から選ばれた5~6社の企業に対して3カ月間、当社の社員がメンターとなって会社経営のアドバイスをします。これは完全に利益度外視で数千万円規模の赤字となっています。

一方のKOIFは、グローバル・ブレインというベンチャーキャピタルと共同でベンチャー企業に投資をしています。投資額は1案件あたり2億~3億円で、ムゲンラボを卒業した会社に投資することもあります。ファンドなのでリターンを得ることを最終目的にしていますが、目先の利益は求めていません。まずは支援先の成功に注力しています。

アメリカのベンチャー投資額は日本の25倍

ムゲンラボは利益度外視、KOIFは短期的な利益を求めないとなると、それがビジネスになるのかと疑問に思う人もいるでしょう。しかし、リターンは間違いなくあります。

1つは、ベンチャーを支援することで、通信会社という業態を超えた発想、ビジネスのヒントを得られることです。ムゲンラボで選ばれた企業の中に、元マグロ漁師だという大学院生の経営者がいました。彼は、スマホを通じてあらゆる社会問題をユーザー同士で共有し、その問題が起きている現場に直接行くツアーをアレンジするサービスを考えました。通信の枠を飛び越えていますが、そういうところに将来のビジネスの種は隠れていると思うのです。

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