孫正義は、なぜ日本を代表する経営者となりえたのか。どうして失敗を重ねながらも、最後には成功をつかみとることができるのか。その答えの鍵は「人たらし」にある! 超一流ともいえる名ゼリフの数々を、関係者が証言する。

その日、グレーのスーツにピンクのネクタイを締めた孫正義は、終始笑顔でシャープ元副社長の佐々木正をもてなしていた。2014年4月28日、東京・赤坂の東洋軒で開かれた佐々木の百寿を祝う集いでのことである。招待された佐々木も同伴した夫人とともに、周囲の参加者たちとの歓談に興じた。


(上)2014年4月28日、佐々木の百寿を祝う集いが東京・赤坂で開かれた。写真は佐々木夫妻と。(下)ソフトバンクは特製の記念ボックスを贈呈。グループ社員中心に100枚の祝辞カードを封入。孫正義社長のそれは、手書きで思いが込められている。

この慶事を開くに当たって、孫はこう言ったという。これだけはほかの人に任せるわけにはいかない――と。孫にとって、この大恩人への感謝の集いは、何にもまして重要なことであったからだ。