内容的にも、リスニングセクションではElisions(省略形:going toがgonnaになるなど)やFragments(文の一部分:Yes, in a minute; Down the hall; Could you? など)を含む会話が流れ、話し手の“暗示している意図”を問う問題が加わる。また、リーディングセクションでは、3つの関連文書を読んで理解する設問が加わる。これまでに増して英語力・情報処理力が問われる改変になっているのだ。

東京・八重洲で社会人向けにTOEICの指導スクールを主宰している中村澄子氏は「見かけは前回(06年)の改変のほうがインパクトがあったが、難易度は今回のほうがはるかに大きく変わった」と分析する。

「ポイントは“読む力”を問う問題が増えたことです。長文読解問題のボリュームが増えたことに目を奪われがちですが、実はリスニングの会話問題と説明文問題こそ“読む力”が問われます。音声が流れる前に設問と選択肢を読み、それを頭に置いて聴く、あるいは“読みながら聴く”ことも必要かもしれません。それには文法や語彙など基礎力の充実が必須です」(中村氏)

現行のスタイルになってから10年が経ち、書店にはいわゆる「TOEIC対策本」が所狭しと並んでいる。テストである以上、傾向分析と対策は必要だが、最近はおよそ英語力と関係のない“裏ワザ系”の情報が増え、ETSがこうした傾向を問題視していたとの見方も一部にある。

いずれにせよ、現行の対策本の多くは「改訂版」が出るか、徐々に「新テスト対応」の対策本に取って代わられることになるだろう。来年3月以降にIIBCから『新公式問題集』がリリースされる見通しだが、新テスト対応の対策本が出回るのはそれ以降、早くとも5月以降になると思われる。そのため、新テストを視野に入れた勉強をするなら、当面は手さぐりになる。「漏らさず聴き取り」「速く正確に読む力を養う」という王道の勉強法こそが、唯一確かな得点獲得法だろう。