2015年11月12日(木)

小飼社長直撃! マツダはこれからも攻め続けられるか?

マツダ絶好調の秘密はここにある!【2】

PRESIDENT Online スペシャル /PRESIDENT BOOKS

著者
宮本 喜一 
ジャーナリスト

1948年奈良市生まれ。71年一橋大学社会学部卒業、74年同経済学部卒業。同年ソニー株式会社に入社し、おもに広報、マーケティングを担当。94年マイクロソフト株式会社に入社、マーケティングを担当。98年独立して執筆活動をはじめ、現在に至る。主な著書に『マツダはなぜ、よみがえったのか?』(日経BP社)、『本田宗一郎と遊園地』(ワック)や、翻訳書『ジャック・ウェルチわが経営(上・下)』(日本経済新聞出版社)、『ドラッカーの講義』(アチーブメント出版)、『勇気ある人々』(英治出版)などほか多数。

執筆記事一覧

ジャーナリスト 宮本喜一=文 前定賢三=撮影
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次世代に向けた正念場を迎えている

――スカイアクティブを投入した新世代製品の販売が好調に推移しているのは、このバランスが認められたということなのでしょうね。

心がけるべきなのは、性能と価格のバランスがとれた製品づくりということです。付加価値があるからと製品価格を上げてしまっては、本末転倒。お客さまにはあくまで最良の価格を考えています。したがって、マツダのビルディングブロック戦略(環境技術開発戦略)にあるように、今後進めていく電動化が織り込まれていく製品は価格と性能のバランスどりが重要な課題となります。電動化などの技術を採用するときにも、お客さまに納得いただける性能と価格のバランスを追求していくべきだと考えています。その意味では、マツダは次世代に向けた正念場を迎えています。

小飼雅道・マツダ社長

 販売が好調なのは、販売部門や販売店が努力してくれたおかげでもあります。スカイアクティブ登場以前からすでに、販売促進費に頼った台数至上主義はやめていました。「売り方革新」です。

 アメリカではフリート販売に頼るのをやめました。今では数パーセント、それも有効なフリート販売しか行っていません。これにより、中古車の残価の維持に大きく貢献しています。 

――その観点からしても、スカイアクティブは正価販売の強力な武器になりますね。

スカイアクティブが提供する価値をいかにお客さまに訴えるかが勝負です。お客さまにきちんと説明し、商品の価値を認めていただいてご購入いただくことが正価販売です。台数を求める意識が過剰になり、お客さまの信頼を裏切るようなことがあってはなりません。ディーラーは目下、この手法を徹底して実行する過程にあります。

――その売り方革新の一環なのでしょうか、ニューモデル開発の中心人物である主査が、発売後に販売店を飛び回っていると、お聞きしています。

ご購入いただけなければ、なんにもなりません。クルマの商品力を最もよく知る主査が直接お客さまにご説明するのが一番です。ですから、今では開発の人間がお客さま向けイベントなど営業の現場に入っています。これからは逆に営業の人間が開発の現場に入って、開発の早い段階から新車に対する要求を出せるようにしたいですね。ただし、注意しなければならないことがあります。それは実力以上にクルマの販売のみに力を注いでしまうと、サービスのリソースが不足して余裕がなくなる、それがお客さまにご迷惑をおかけする原因になる、ということです。正価販売を基本にしながら、全体を見た継続的な成長を心がけるべきです。

――そうした技術革新、販売革新によって、マツダはもう十数年前のマツダではないように感じますが。

早期退職を実施した2000年代初めのマツダにとってつらい時期が、マツダのいわば“リスタート”になりました。そのようなつらい時期を二度と経験しないように、マツダは進んでいかなければなりません。今後は、雇用の確保は当然のことながら、地域への貢献を果たしていきたいと思います。そのためには地場のお取引先様、お客さまとの心のつながりがさらに重要になるでしょう。マツダは2020年に創立100周年を迎えます。そのとき地域の方々からお祝いしていただけるようなマツダでなければならないと考えています。とはいえ、100周年は単なる通過点です。その先をずっと昇って行けるようにしたいし、地域との関係ももっとよくしていきたいと思っています。

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