2015年11月1日(日)

もめるぞ危険! 「妻の実家の相続」意外な落とし穴

PRESIDENT 2015年5月18日号

著者
川口 昌人 かわぐち・まさと
雑誌エディター/ライター

川口 昌人

フリーランスエディター/ライター、商業誌翻訳者。1963年生まれ。米国系報道週刊誌の編集部にいたが、息子の誕生を機にフリーに。現在はプレジデント Familyほかで各種記事を執筆。カバー分野はテクノロジー、心理、医学、ビジネス、美術、教育、子育てなど。特技は冷蔵庫の中を見ての夕食作り。

執筆記事一覧

川口昌人=文
1
nextpage
あまり出しゃばるのも気が引ける。けれども事前対策ゼロではトラブルが怖い。Xデーの準備を、どう持ちかけたらいいか。

「ふつうのお宅」の相続ほどもめる!

自分の親の相続は片付いたけれど、そういえば妻の実家の相続はどうなっているのか。資産状況や親族の意向など、それとなく妻に様子を尋ねてみても、いまひとつ要領を得ない。そのまま放っておいていいものか……。

実際、相続トラブルは増加傾向にある。家庭裁判所での審判や調停に持ち込まれた遺産分割事件の数は、2012年の統計で1万5286件。その4分の3は遺産総額が5000万円以下、3割は1000万円以下の案件だ。

「相続でもめるのはお金持ちだけという思い込みは、まったくの誤りです」と、『誰も教えてくれなかった「ふつうのお宅」の相続対策ABC』の共著者、弁護士の武内優宏氏は言う。

さらに今年からは、国が相続税の課税を強化。配偶者と子供合わせて3人で遺産を相続する場合の基礎控除は、それまでの8000万円から4800万円に引き下げられた。「実家が首都圏の一戸建てで、預貯金が数千万という『ふつうのお宅』でも、課税対象になる場合がありえます」と指摘するのは、『誰も……』のもう1人の共著者、税理士の内田麻由子氏だ。

とはいえ、妻本人はともかく、配偶者である夫には相続権がない。妻の親族の遺産分割協議に口を出すのは、そもそもお門違い。相続人の配偶者が出しゃばってもめるケースはとても多いと、武内氏も内田氏も釘を刺す。

一方で、しかるべき相続対策がないまま「Xデー」が来たときのリスクは大きい。相続税には、自宅などの敷地の評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」や、配偶者について法定相続分または1億6000万円まで相続税がかからない「配偶者の税額軽減」など、相続税を大幅に軽減できる特例がある。しかし、申告期限である10カ月以内に遺産分割協議がまとまらなかった場合には、これらの特例が受けられない。

「どうしても気になるなら、とにかく奥様の意向を尊重し、あくまでサポート役に徹するのがいいでしょう」(武内氏)。その戒めを守りつつ、円満な相続の秘訣を探ってみたい。

PickUp