2015年10月13日(火)

ズレた若者を、あえて採用する ~アクセンチュアとの取り組み(前編)

“マネジメント”からの逃走 第34回

PRESIDENT Online スペシャル

著者
若新 雄純 わかしん・ゆうじゅん
人材・組織開発プロデューサー/慶應義塾大学特任講師

若新 雄純福井県若狭町生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程(政策・メディア)修了。専門は産業・組織心理学とコミュニケーション論。全員がニートで取締役の「NEET株式会社」や女子高生がまちづくりを担う「鯖江市役所JK課」など、多様な働き方や組織のあり方を模索・提案する実験的プロジェクトを多数企画・実施中。著書に『創造的脱力』(光文社新書)がある。
若新ワールド
http://wakashin.com/

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市川博久、若新雄純=談、前田はるみ=構成
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世界最大規模のコンサルティングファーム・アクセンチュアは、若新氏が企画してきた「就活アウトロー採用」や「ナルシスト採用」などの活動をサポートしている。しかもそこから、実際に5人の若者を採用した。同社で本業のかたわら企業市民活動を展開してきたマネージング・ディレクターの市川博久氏と、「ニート株式会社」や「鯖江市役所JK課」などの企画を通して創造的な組織やコミュニケーションのあり方を模索してきた若新氏は、頻繁に顔を合わせ、互いに触発し合う間柄である。異質な両者はどのように出会い、何を目指しているのか。

「支援する」というやり方は正しいのか?

【若新】市川さんと最初に出会ったのは、僕がニート株式会社を始める少し前、2012年頃でしたね。

【市川】そうですね。僕は2010年から、アクセンチュアの企業市民活動の一環として日本の若者の就労支援に取り組んでいますが、若新さんとはその活動を通じて知り合いました。ちょうど自分たちの支援のあり方に疑問を感じていた時期だったんです。引きこもりやニートの若者を支援するにしても、彼ら、彼女らがみんな経済的に困窮した弱者かというと、そうではない人もいる。「支援する」というやり方が正しいのだろうかと。

若新さんといろいろ話をするなかで感じたのは、「支援と被支援」の構図では、本当に若者のためになる活動にはならないのではないかということです。支援と被支援の上下関係ではなく、若者が主体性を損なわずに、対等な目線で刺激しあうようなやり方でなければ意味がない。若新さんはそれをニート株式会社などで模索していました。ぜひ一緒に何かやりたいと思いました。

【若新】初めて会った時、市川さんが僕の活動に共感してくれたことは想定外で、すごくうれしかったんです。実は、アクセンチュアの偉い人を紹介してもらえるということになった時、あんまり期待してなかったんです(笑)。やろうとしていることをそのまんま説明しても、なかなか理解してもらえないことが多いので……。

たとえば、就活がバカらしいという若者をターゲットにした「就活アウトロー採用(http://outlaw.so/)」だと、ほんのごく一部の若者にだけ確実に届くメッセージであればいいと思ってるんです。結果的に、偏屈で高学歴な若者が毎回100人程度集まっていて、すごいねって言われるんですが、マス向けの就活サービスだとしたら人数が少なすぎて、成立しません。マニア向けのサービスだから、成立している(笑)。アクセンチュアのようなまともな大組織に属する人には、興味を持ってもらえないだろうというあきらめがありましたね。

【市川】若新さんが最初のうちテンションが低かったのは、そういう理由だったんですね。派手な髪型のお兄さんが黙って座っているので、どういうことなのか、気にはなっていたんです(笑)。でも、途中から話が弾みましたね。若新さんと話していると、僕自身が子どもの頃に抱いていた社会への疑問や、この会社に入社してやりたかったことなど、自分の原点を思い出すきっかけになりました。僕自身の振り返りにもなるんです。出会った頃は、特にミーティングの目的も決めずに会って、1~2時間話すこともザラにありました。

【若新】この人時給めちゃくちゃ高いはずなのになぁと思いながらも、好き放題にしゃべってました(笑)。その後、前述の就活アウトロー採用や、自意識過剰な若者向けの「ナルシスト採用(http://narcissist.so/)」の活動などをアクセンチュアさんに支援してもらえることになりました。

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