なんとなく信頼できる印象を与える人と、そうでない人。心理学的な観点からみて、両者にはどのような違いがあるのだろうか?
世間一般では、女性に年齢を聞くことはタブーだとされている。ところが、ニコニコしながら「○○さんはおいくつですか?」と聞くと、意外と簡単に「△歳です」と、返事が返ってくるものだ。
そもそも、人間は笑っている顔を好む。生後間もない赤ちゃんに、笑っている顔の写真と怒っている顔の写真を見せると、笑っている顔の写真のほうに多く顔を向けたという実験データもある。いつでもニコニコしながら福々しい顔で人に接すれば、どんな話題を出しても嫌われることはない。いつも笑顔でいる人は、信頼されやすいのだ。
オランダにあるアムステルダム大学のアニーク・ヴルートが、デパートで見知らぬ人に声をかけ、離れたところにいる別の観察者が表情を分析する実験を行ったところ、笑顔で近づくと64.9%の人が笑顔を返し、無表情で近づくと64.7%が無表情を返したという。これは「笑顔の返報性」と呼ばれる心理効果で、笑顔で話しかけると、相手も笑顔を返してくれる。不思議なことに、テレビの登場人物が笑っているのを見るだけで、視聴者も笑う。笑顔のポスターを見ると、自然に笑顔になることもわかっている。
笑顔の返報性を発揮するためには、自分から笑いかけたほうがいい。たえずニコニコしていれば、相手も楽しい気分になってニコニコしてくる。楽しい気分になると「あいつはいいヤツだな」と感じるようになり、それが好意と信頼につながる。普段あまり笑わない人でも、意識して笑い顔をつくるようにすることで、自然と板についてくるものだ。「男は黙って背中で語れ」というが、残念ながら、それでは信頼されるようにはならない。
(構成=大山弘子)