8月1日、大学生の就職・採用活動が開始された。いま採用面接が盛んにおこなわれているだろう。ここ数年の特徴としては英語の社内公用語化を打ち出す企業が増えてきたということ。公用語とまではいかなくとも管理職の昇格要件に英語力を課す企業も増えてきている。果たして、英語ができないと出世できないのか、英語ができれば本当に出世できるのか。『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著 プレジデント社)より、「昇進・昇格」の最新事情をお届けする。

英語ができるから出世できるわけでもない

英語ができないと出世は望めない――。どうもそんな時代になりつつあります。武田薬品工業のように新卒採用の要件にTOEIC730点以上を求める企業もあれば、楽天やファーストリテイリングのように英語の社内公用語化を打ち出した企業もあります。

英語の公用語化とは会議資料や議事録、マニュアルなどの社内文書やメール、それに会議も英語で行うというもの。とくに楽天は日本人同士であっても会議は原則英語です。そのために最低TOEIC600点、課長職700点、部長職750点以上の取得を義務づけています。同様にファーストリテイリングも全社員に700点以上の取得を義務づけています。

『人事部はここを見ている!』溝上憲文著(プレジデント社刊)

公用語まではいかなくとも主任、係長、課長の昇格の要件に英語力を課す企業も増えています。パナソニックの係長はTOEIC550点、コニカミノルタHDの課長は600点を条件にしています。

なぜ今、英語力が必要なのでしょう。電機メーカーの人事部長は「係長、課長クラスになると、海外の生産拠点や販売部門にどんどん出すようにしている。マーケットのニーズを探るには英語が必要になるし、上司がアジア人というのは珍しくない。ある程度英語ができないと出世できなくなるのは間違いない」と言います。

もちろん、国内の営業マンのように英語とは無縁の仕事に携わる人もいます。ところが、韓国企業に買収された日本の電子部品メーカーの場合、韓国人が執行役員に就き、その下の営業部長が英語ができないために左遷されたそうです。英語ができなくても定年までなんとか大丈夫だろうと思っても、いつどうなるかわかりません。

ただし、英語ができるからといって出世するわけでもありません。石油会社の人事課長は「あくまで英語はビジネスの手段。どんなに流暢に話せても仕事ができない“英語バカ”はだめです。TOEIC500点しかないが、アメリカで右に並ぶやつがいないほど商談をまとめている社員もいる」と言います。

最低限の英語力は必要だとしても、後は習うより現場で慣れろ、の精神でがんばるしかありません。そして出世の決め手になるのは“仕事の実力”なのです。

※本連載は書籍『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著)からの抜粋です。