誰しもに平等に与えられた24時間なのに、何倍もの利益を生み出す人がいるのはなぜだろう?
業界リーダーたちのタイムマネジメント術を探る。
重要なのは「やらないことをいかに増やすか」
2014年秋、KDDIによる買収子会社化が発表されたnanapi。その評価額は数十億円とも言われ、世間を大きく賑わせた。
社名と同名サービスであるハウツーサイトは生活に役立つ様々なノウハウなどがまとめられており、月2000万人以上の利用がある。さらに、無料でチャットができるアプリ「アンサー」や英語で海外に情報発信をするメディア「IGNITION」など新しいネットサービスを次々に世に出している。今、最も注目されるベンチャー企業の一つだ。
急速に変化し続ける同社代表、古川健介氏のスケジュール管理は、意外にもゆるりとしたものだった。
「『スケジュール管理というタスク』になると負荷になってしまうので、会議など出なきゃいけないもの以外は予定は組まないんです。それ以外はパソコンの前になんとなく座っているんです」と笑う。しかし、それはすでに様々なトライアルを重ね、吟味された結果の時間管理だということがわかる。
「立ち上げ当初はサイトの企画を考えたり、ビジネスモデルを試したりと限界まで仕事していました。細かく自分の作業時間をスケジュールに書き込んでいた時期もあった。でも、それで時間をとるのは本末転倒ですよね」
実は、ノウハウ本やビジネス本を読むのが大好き。「その道のプロフェッショナルが長い時間をかけて考えたノウハウに乗っかるほうが、自分で考えるよりもずっと効率がいいんです」。本にあるノウハウで気になったものは、すぐに試してみることにしている。そこで自分に合ったものだけ残していく。
今や毎年倍速で成長する企業の社長。プログラミングよりも意思決定や資金調達に頭を働かせる。
「今は会議など、僕がいなくてはいけないものの予定しかスケジュールには入れてないです。時間をうまく使うためには『やらないことをいかに増やすか』が重要。実際、会議にはなるべく出ないようにしています。社員にはやりたいことは責任もって進めてもらっています。モットーは『許可するより謝罪する』。ひたむきに仕事をしていれば、上司に許可をとる必要はなく、失敗したら謝罪すればいい、という形にしています。また、重要な仕事が急に入ってきたときのために1日の半分は意図的に空けています。事業を拡大するときなど急に資金調達が必要になるときがあり、そんなときには一気に時間をとられるので」