誰しもに平等に与えられた24時間なのに、何倍もの利益を生み出す人がいるのはなぜだろう?
業界リーダーたちのタイムマネジメント術を探る。

弱さに寛容な社会をテレビと草の根からつくりたい

有事が起きたときには、昼夜関係なく現場に駆けつけるテレビの報道記者。これが、鈴木美穂氏の一つの顔。深夜や週末の勤務も時には必要となるこの本業だけでも多忙を極めるが、彼女にはもう一つの顔がある。がん患者やその家族が専門的な相談、支援を受けられ、自分の力を取り戻していける場所「マギーズ東京」を設立・運営するという、一大プロジェクトの共同代表を務める。

maggie's tokyo project共同代表 鈴木美穂氏

「がんを宣告されたとき、一気に死が近くに感じられました。当時正しい知識や情報を持っていたら、がんになった後の人生にもっと希望を持って闘病できたのに……」

この活動を始めたのも、彼女自身が24歳で乳がんと告げられたときの経験から。小学生の頃から夢だったテレビの報道記者になってまだ3年目。ある日、シャワーを浴びた後、胸にしこりを見つけた。心配になって会社の診療所を受診。紹介された病院で精密検査をした翌週、一人で結果を聞きに行くと、ステージ3の乳がんだと告げられた。手術の後、抗がん剤や放射線治療などが始まった。治療中、死への恐怖や、若く輝いている友人たちにおいていかれる不安感で、気持ちはふさぎ、うつ症状が出始めた。

そんな彼女を救ったのが、がん患者の相談にのるサロン運営をする女性との出会いだった。「人に希望を与えている彼女自身もキラキラして見えたんです。『私もそういう人になりたい』と初めて病気の先の人生が見えた」。8カ月後、体調が回復し仕事復帰したと同時に、新しい夢を追いかけ始めた。がん経験者のインタビュー冊子の発行や、患者が通えるヨガ教室を主宰し、支援活動をしてきた。