「定年前OB社員」――。サラリーマン人生から心理的に卒業し、割り当てられた業務を大過なく処理して過ごす人。あるいは難しい問題を先送りする人。こうした「働かないオジサン」はどこにでも生息していて、若手ビジネスマンもその予備軍だという。『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著 プレジデント社)より、「働かないオジサン」の最新事情をお届けする。

仲良しクラブになると生産性が下がる

人事部が頭を抱えている社員に「定年前OB社員」がいます。平たく言えば、会社に貢献してほしいのに、サラリーマン人生から心理的に卒業し、割り当てられた業務を大過なく処理して過ごす人。あるいは懸命に仕事をしているフリをして、難しい問題は先送りする人のことです。経営環境が厳しい時代にそんな社員がいるのか思うかもしれませんが、実際にいると語るのは公益企業の人事課長です。

「56歳の課長だが、夕方の4時を過ぎると新聞を読み始めて、終業時間近くになると新聞をバサバサと大きな音を立てて捲り始めます。なぜ、そんなことをやるかというと誰かが飲みに誘うのを待っているわけです。うるさくてしょうがないから、誰かが別の社員に目配せして『今日はお前行け』と指示する。部下からなんとかしてくださいと泣きつかれたことがあります」

『人事部はここを見ている!』溝上憲文著(プレジデント社刊)

経営環境が厳しい時代にこんな課長でも辞めずに居座っていられるのは恵まれた会社なのかもしれません。IT企業の人事部長は働かない中高年管理職対策として頻繁に異動させていると言います。

「同じポストに5年もいれば惰性で仕事をやるような人が生まれます。あるいは課長が部下に“いい人”と思われようと仲良しクラブになり、生産性が落ちた職場もあります。組織を健全な形で維持させるために、だらけた課長、部長の異動を3年ごとに意識的にやり、あえて組織を壊すようなことをやっています。人を入れ替えることで緊張感を保つことができます」

しかし、こうした荒療治をやるには相当の勇気と覚悟が必要です。対策として約4割の企業が実施しているのが役職定年制です。55歳になれば課長以上は役職を外されます。もう1つの方法は50歳以上の賃金の減額です。大手企業の中には給与を3~4割減額するところもあります。

この制度は、あえて厳しい状況に置いて奮起を促すのが狙いです。ですが、実際には「カエルの顔になんとかではないが、仕事に対する態度は以前と全然変わらず、効果は上がっていない」(食品会社人事部長)と言います。

※本連載は書籍『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著)からの抜粋です。