8月1日、大学生の就職・採用活動が始まる。経団連が2016年卒入社組から採用面接は8月への「後ろ倒し」を要請したからだ。「大学生が学業に専念する十分な時間を確保するため」というが、すでに採用活動は始まっていて、苦戦していて焦りはじめた大学生も多いだろう。採用担当者が教える、これからでも間に合う「就活で失敗しない方法」とは何か。『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著 プレジデント社)より、2015年の「後ろ倒し」された「就活」最新事情をお届けする。

数打てば当たるという時代ではない

2016年卒の選考試験がすでに始まっています。すでに内定を得た人もいるでしょうが、苦戦している人もいるでしょう。これからでも間に合う採用担当者に聞いた、「失敗しない5カ条」を披露しましょう。

第1条は「業界・会社を絞れ」

50社以上受けても落ちる人がいますが数打てば当たるという時代ではありません。情報通信業の人事課長は「エントリーシートの志望動機に『当社に入りたい』と書いてくるだけではダメです。『当社で何をしたいのか』をはっきりと書くことが大事だ」と言います。

『人事部はここを見ている!』溝上憲文著(プレジデント社刊)

また、書類選考では自筆の作文を郵送させる企業もあります。ゼネコンの人事部長はこう言います。

「字がうまいか下手かは関係ありません。丁寧に書いているのかどうか。字に表れる“人柄”を見ています」

第2条は「経験・体験の棚卸し」

面接では高校・大学時代の失敗・成功体験を必ず聞かれます。電機メーカーの人事部長はこう言います。

「大学時代を振り返り、成功譚より最もつらく、苦しかった経験を根掘り葉掘り聞きます。とくに失敗の深さと克服したときの思いと気づきの“落差”を観察し、会社に入ってからの再現可能性の有無をチェックしています」

したがって生半可な経験談はすぐに見破られます。人には言いにくい失敗でも繕うことなく正直に話し、自分という人間を知ってもらうことが大事です。

第3条は「話は5分でまとめる」

とくに1次面接では1人に割く時間はごくわずかです。食品業の人事課長はこう指摘します。

「自分の言いたいことを要領よく5分程度で話すことができなければアウトです。即座に次の学生に質問するので印象にも残りません。ある程度のプレゼン能力がない学生は1次面接突破は難しいのが実態です」

そのためにはこれまでの自分の体験を棚卸しして、そこから選び出した経験を論理的に整理し、5分間で相手に伝わるように何度も練習することが大事です。自動車メーカーの人事課長はこう言います。

「内定を得ている学生のほとんどは自分の経験を筋道を立てて論理的に語れる人です。突っ込まれて論理がおかしくなる学生はその時点で終わりです」