2015年2月23日(月)

なぜ頭を下げられない後継社長になってしまうのか?

中小企業の後継者が知っておくべき心得【2】

PRESIDENT Online スペシャル /PRESIDENT BOOKS

著者
牟田 太陽 むた・たいよう
日本経営合理化協会専務理事

1972年東京生まれ。大学卒業後、アイルランドで和食レストランを創業。異境の厳しい環境で、創業の精神、強さ、忍耐、勇気、感謝の心を学ぶ。その経験と、事業を継ぐ決意とともに帰国、入協する。以来、社長専門の勉強会「実学の門」「無門塾」「後継社長塾」などを企画・運営。企画部長、事務局長を経て2010年4月より現職。わが国屈指の社長専門コンサルタントで同協会理事長の牟田學から、事業経営の真髄と経営者としての心得について直接教えを受けた後継者である。2000社を超すオーナー社長や後継者と親密な関係を築くなかで、社長や後継者が抱える様々な悩みや事業承継問題に精通。その親身かつ適切な指導には特に定評がある。共著書に『事業発展計画書の作り方』(日本経営合理化協会出版局)がある。

牟田太陽(日本経営合理化協会専務理事)=文
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創業者の感動を知らない後継社長

『「後継者」という生き方』牟田太陽著(プレジデント社)

知り合いの経営者から、「息子が頭を下げられなくて困っている」と相談されることがある。どこか生意気な雰囲気で、何かミスがあっても「申し訳ございません」とすぐに頭を下げられない2代目、3代目社長。そんな調子の後継社長では、取り引き先などから好印象を持たれることはないだろう。

どんな商売でもお客様がいない商売などないにもかかわらず、頭を下げるのを嫌う後継社長は、それが恥ずかしくてみっともなく、自分が“負けた”ことになると思っているのかもしれない。媚びへつらうべきだとは言わないが、「どうすれば、もっとお客様のお役に立てるのか?」と普段から考え、「お客様第一主義」を徹底していたら、自然と頭が下げられるはずである。

ただ、後継者が会社を継ぐときには、すでにお客様がいる状態だ。何もないところからスタートし、最初に仕事をもらったときの創業者の感謝、感動、感激を、後継社長は知らない。すべてゼロから始め、苦労して最初のお客様が来てくださったときの喜びを体験していない。だからなかなか頭を下げられないのだろう。

さらに言えば、後継者が社長になった途端、恐怖政治のような経営になってしまったため社員がどんどん辞めていくような事態になっても、「自分は何も悪くない。辞める奴が悪いんだ」と平気で言う後継社長がいる。創業者が初めて社員を雇ったときの感動と責任の重さを、やはり後継社長は知らないのだ。

こうした「創業の原点」ほど、後継者に、そしてそのまた次の世代に伝えていかなければならない。できあがった状態を引き継ぐ後継者は、創業者の苦労や思いを知るよしもない。意識して伝えていかなければ、あっという間に風化してしまう。「創業の原点」を知らないという後継者は、ぜひとも調べてみてほしい。そこに「何のために我々はこの会社をやっているのか」というすべてが詰まっているはずだ。

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