2015年3月2日(月)

後継社長が就任後に気をつけたい3つの地雷

中小企業の後継者が知っておくべき心得【3】

PRESIDENT Online スペシャル /PRESIDENT BOOKS

著者
牟田 太陽 むた・たいよう
日本経営合理化協会専務理事

1972年東京生まれ。大学卒業後、アイルランドで和食レストランを創業。異境の厳しい環境で、創業の精神、強さ、忍耐、勇気、感謝の心を学ぶ。その経験と、事業を継ぐ決意とともに帰国、入協する。以来、社長専門の勉強会「実学の門」「無門塾」「後継社長塾」などを企画・運営。企画部長、事務局長を経て2010年4月より現職。わが国屈指の社長専門コンサルタントで同協会理事長の牟田學から、事業経営の真髄と経営者としての心得について直接教えを受けた後継者である。2000社を超すオーナー社長や後継者と親密な関係を築くなかで、社長や後継者が抱える様々な悩みや事業承継問題に精通。その親身かつ適切な指導には特に定評がある。共著書に『事業発展計画書の作り方』(日本経営合理化協会出版局)がある。

牟田太陽(日本経営合理化協会専務理事)=文
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ドラスティックに会社を変えてはいけない

『「後継者」という生き方』牟田太陽著(プレジデント社)

「社長になったら会社をドラスティックに変えてやろう」と考えている後継者はわりと多いのではないだろうか。戦後すぐに創業した会社にとっては、会社を取り巻く社会環境は激しく変わってきた。女性の社会進出に伴って産休や育休なども拡充してきており、最近では男性社員も育休をとるようになってきた。

働き方自体も、昔は朝早くから遅くまで働くことが美徳とされる傾向があったが、それも変わりつつある。会社としても法令順守や社会的責任というのが問いただされるようになってきた。

そういった時代の変革の中で、それが「当たり前」として育った後継者の中には、創業者が作った理念などがときに古臭く感じることがあるのだろう。「自分が社長になったら、ここと、ここを変えて……」などと虎視眈々と考えたくなる気持ちもわからなくもない。

しかし、社長になった途端に理念などを変えることは完全にアウトだ。最低3~5年は前社長のやり方や考えというのを踏襲すべきだと私は考えている。後継者が社長に就任して「馴染む」のにそのくらいの期間がかかるからだ。急にさまざまなことを変えようとすると社員から拒否反応が出ることがある。その間、焦らずどっしりとかまえていてもらいたい。

経営の究極の目的は、「永続させること」以外にない。永く永く繁栄を続けていくためには、「革新させるべき部分」と「絶対に変えてはいけない部分」がある。

何十年も経営をしてきた先代の知識や知恵というのが、「絶対に変えてはいけない部分」の一つだ。その中には先代が自身で身をもって経験した原理原則が含まれていることが多い。「経営は、原理原則が8割で、残りの2割が時事的なものだ」と以前からお世話になっている元ジョンソン・エンド・ジョンソン社長の新将命先生は言う。

その重要である原理原則を昨日今日に社長に就いた後継社長が変えてしまうと、ときにリスクが生まれる。原理原則を忘れ、時事的なテクニック論に走ると、会社はおかしくなってしまうことがあるのだ。だからこそ、そんな地雷を踏まないように会社の変革は時間をかけて行うべきなのだ。

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