2015年2月14日(土)

先進国で食塩摂取が一番多い日本が、なぜ長寿国なのか

なぜ、おなかをすかせると病気にならないのか【2】

PRESIDENT Online スペシャル /PRESIDENT BOOKS

著者
石原 結實 いしはら・ゆうみ
医学博士

1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業後、血液内科を専攻。「白血球の働きと食物・運動の関係」について研究し、同大学大学院博士課程修了。スイスの自然療法病院B・ベンナー・クリニックや、モスクワの断食療法病院でガンをはじめとする種々の病気、自然療法を勉強。コーカサス地方(グルジア共和国)の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。現在は東京で漢方薬処方をするクリニックを開く傍ら、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。著書はベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)『食べない健康法』(東洋経済新報社)『「体を温める」と病気は必ず治る』(三笠書房)、石原慎太郎氏との共著『老いを生きる自信』(PHP研究所)など、280冊以上にのぼる。著書は韓国、中国、台湾、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、タイなど世界各国で100冊以上翻訳出版されている。1995年~2008年まで、日本テレビ系「おもいッきりテレビ」へのレギュラー出演など、テレビ、ラジオ、講演などでも活躍中。先祖は代々、鉄砲伝来で有名な種子島藩の御殿医。

執筆記事一覧

医学博士・イシハラクリニック院長 石原結實=文

高血圧は塩のせいなのか?

『なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?』石原結實著(プレジデント社)

「塩分は高血圧や脳卒中の元凶である」「心臓病には、塩分の摂取を控えるべき」「糖尿病の人は、減塩食にすべきだ」……。こうした「塩悪玉説」が唱えられるようになって久しい。

1950年代、日本に来た米国のダール博士が、鹿児島から青森までを調査した。当時、鹿児島の人たちの平均塩分摂取量は14g/日で高血圧の発症率が約20%だった。北に行くに従って、塩分の摂取量が増加するとともに高血圧も増加し、青森の人たちの塩分摂取量が約28g/日、高血圧の発症率が約40%にも達していることがわかった。そのため、「塩分=高血圧の元凶」と結論づけられたのである。

この調査結果を受けて、1960年ごろより東北地方を中心に減塩運動が始まり、やがてそれが全国に波及していく。おかげで減塩醤油、減塩味噌、減塩梅干しなどが増えていった。それで、高血圧が減ったかというと、減るどころかむしろ増加傾向にある。いまや高血圧患者は5000万人もいるという。

東北など寒冷な地域でくらす人たちが、大量の塩分をとる習慣があったのは、寒さを防ぐために必要だったからである。塩分は体を温める働きをもっているのだ。現在のように暖房が十分に発達していなかった厳寒の冬を乗り切るためには、塩分を多めにとって体を温める必要があった。もし当時、塩分を控えていたら、高血圧や脳卒中を発症するずっと前に、冷えから起きる肺炎や結核、リウマチ、うつ病などにかかって生命を落とす原因になっていたかもしれない。

また、寒い地方の人々の高血圧の原因としては、冬の間に屋外での運動ができなかったこと、新鮮な野菜の摂取が不足していたこと、厳しい寒さそのものが血管を収縮させて血圧を上昇させていたこと等も考えられる。塩のみを高血圧の元凶とするのは間違いだろう。

塩分は体に悪いのではなく、要は出すことなのだ。塩分は十分にとって体内で利用し、汗や尿で体の外へ排泄すればよいのである。というのは、塩分(特に化学的な合成塩の食塩ではなく、約100種類のミネラルを含む自然塩)には、新陳代謝を促して体温を上げたり、体内の有害物を解毒したりする作用があるからである。

スポーツや入浴、サウナで十分に発汗する、あるいはニンジン・リンゴジュースや生姜入りの紅茶など利尿を促進する飲み物を飲んでいるという前提で、きちんと塩をとることは、健康を促進することはあっても、健康に害になることはない。

※本連載は『なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?』(石原結實 著)からの抜粋です。

石原結實(いしはら・ゆうみ)●医学博士・イシハラクリニック院長。1948年、長崎県長崎市生まれ。長崎大学医学部卒、その後同大学院博士課程を修了。1982年、イシハラクリニックを東京に開設。
オフィシャルサイト http://www.ishihara-yumi.com/
『なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?』(プレジデント社)
なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?

[著] 石原 結實  

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