統計的に見て余命がきわめて短いがん患者が治癒する事例が数多くあることをご存知だろうか。こうした事例を徹底調査した結果、がんが自然に治った人たちが実践している9つの習慣があることがわかった。そのことを報告した『がんが自然に治る生き方』は、発売と同時にアメリカでベストセラーとなり、日本でも邦訳が発売されて以来、アマゾンのがん部門で1位を独走している。著者のケリー・ターナー博士をニューヨークでジャーナリストの大野和基氏がインタビューした。全2回でお届けする。

――初めて出された本『がんが自然に治る生き方』がこれほどのベストセラーになったあなたにとって、昨年はどんな1年でしたか?

【ターナー】この本が出版された最初の週にニューヨーク・タイムズ紙のベスト・セラーになりましたが、わたしにとっては予想以上のことだったので、とてもエキサイティングでした。というのも科学界では、がんの劇的寛解(Radical Remission)について研究している人はほとんどいないからです。読者がこのテーマに関心を持っているということがわかってとてもうれしく思っています。

――日本でも出版と同時に大きな反響がありました。

【ターナー】わたしは日本では無名です。そういう中で、この本がポジティブに受け入れられたというのはとてもうれしいことです。本の取材で2008年の終わりごろ日本にも行きました。1カ月滞在して、末期がんを克服した寺山心一さんや、“ミトコンドリア博士”の西原克成さんをインタビューしました。

――この本が契機となって何か新しいことが起きましたか?

【ターナー】わたしの本では「標準治療を一切用いずにがんが治った」「標準治療を受けたけれどもがんが治らず、代替治療に切り替えてから治った」というケースを取り上げていますが、「現代医療と代替医療を併用し、統計的に余命を上回って生存している」という3つ目のカテゴリーの研究を始めました。具体的には、食事療法、ハーブ、感情療法といった代替治療と平行して、化学療法、手術、放射線療法など標準的な治療法を行い、非常に深刻ながんを克服しているグループです。

――最も多かった賞賛の内容はどんなものでしょうか。

【ターナー】アメリカの読者は自分自身ががん患者か、その家族か友人かが多いですが、化学療法や手術や放射線治療に加えて、どこでも実行できる9つのことがあることを知って、非常に前向きになったと言ってくれます。

――いちばん嬉しかった反応は?

(アメリカの)アマゾンのオンライン・レビューで、「わたしの医師がこの本を読むように薦めてくれた」と書いている人がいました。おそらく腫瘍専門の医師でしょう。医師がこの本を患者に読むように薦めてくれたことは本当にうれしかったですね。

実はこの本を書いたとき、多くの医師から怒りの声が来るのではないかと予想していましたが、批判はほとんどありませんでした。本の序章に「この9つの共通の要素は仮説である」と明記したからでしょう。少数の批判は、その序章を読んでいない医師からのものでした。もしそれを「仮説」ではなく、「結論」として断定していたら、多くの批判にさらされたかもしれません。