2015年1月28日(水)

「役人天国」健在! なぜ公務員の給料は高いのか?

人事&給料の謎【10】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
山口 俊一 やまぐち・しゅんいち
株式会社新経営サービス 常務取締役 人事戦略研究所所長

山口 俊一人事コンサルタントとして20年超。人事コンサルティングのほか、講演、執筆活動を中心に活躍している。約400社の人事・賃金制度改革を支援してきた人事戦略研究所を立ち上げ、現在に至る。一部上場企業から中堅・中小企業に至るまで、様々な業種・業態の人事制度改革コンサルティングを手掛ける。最新著書は、『業種別人事制度(3)商社・卸売業』『業種別人事制度(6)運輸・物流業』(中央経済社) >>人事戦略研究所サイト http://jinji.jp

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新経営サービス 常務取締役 人事戦略研究所所長 山口俊一=文
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職種によっては、最大2倍の格差も

公務員は民間企業に比べて高給取りなのでしょうか。

たとえば、東京都が2008年に発表した「技能労務職員等の給与等の見直しに向けた取組方針」という資料があります。都の公務員と民間企業従業員の平均給与について、ほぼ同じ職種ごとで比較を試みています。

清掃職員の場合、2007年の平均月給は 51万9084円。民間企業の類似職種が29万9800円ですので、実に1.73倍の開きということになります。そのため、「国や民間企業の給与水準を踏まえ、給与の伸びを抑制、職務・職種をより一層反映した給与制度への見直しを図る」という方針を打ち出しました。

はたして、この方針は実行されたのでしょうか?

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東京都 技能労務職員の給与変化

2014年10月に、現在の状況が発表されています。これによると、清掃職員の平均給与は 50万4117円と3%ほど減少していますが、民間企業との差は1.73倍のままです。しかも、自動車運転手や守衛といった職種に至っては、逆に2007年当時よりも上昇しています。

これらは月給だけの比較ですが、年収ベースでは2014年時点で、清掃職員1.96倍、用務員2.02倍、自動車運転手1.74倍、守衛1.95倍と、更に民間企業との格差が広がります。

この資料を見る限りは、官民格差が是正の方向に進んでいるとは、全く思えません。

民間企業は、基本的に市場原理の中で戦っています。清掃会社であれば、コストを一定以内に抑えなければ事業が成り立たないので、自ずと清掃職の賃金水準も決まってきます。

一方、公務員の給料は、毎年昇給していくしくみのため、たいていの人は定年前が一番高くなります。今時たいていの民間企業であれば、昇進・昇格せずに同じ仕事のレベルを継続していれば、何年かで給与が頭打ちになります。それ以上は、年齢を重ねても給与水準は上がらない。それに対して、公務員の場合は、昇格できない人もほぼ定年まで昇給が続く。そのため、年代別で見ると、50代の官民格差が最も大きくなっているのです。

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