女性には意義や目的を伝えること
カルビー●菅原信康さん

昔、上司に言われていまも心に残っている言葉があるんです。「おまえが部下を育てようというのは驕りだ。本人に育つきっかけやチャンスを与えるのがおまえの仕事なんだ」と。日本の企業社会はまだ男社会ですから、女性の部下を持った男性上司はつい、「育てよう」という意識になりがち。そういう人ほど、この言葉を噛み締めてほしいですね。

そのためには、男性、女性問わず、部下一人ひとりと向き合い、しっかり話をしなければなりません。カルビーでは、会社制度として年2回、上司が部下に将来の希望を聞くキャリア面談を行っています。

一方、男性にはあまり必要ないフォローも、女性には必要だと思います。たとえば健康面の配慮です。うちの部署には繁閑が非常に激しい採用という仕事があり、それに従事すると体調を崩しやすい。女性特有の体の問題もありますのでなおさらです。女性の体調は顔に出やすいので、「健康第一だから、無理するな」という声がけを意識して行っています。

もうひとつは飲み会です。男の部下だったら、1対1でも、当日いきなり「飲みにいくぞ」でもOKですが、女性の場合、そうはいきません。でもお酒は人間関係の潤滑油であり、オンタイムでは言えない本音が聞けるので大切にしたい。そこで、大きな仕事の後に打ち上げをやるのはもちろん、そのほかに「カザフスタン料理を食べに行く会」といったように、テーマを設定してみんなで飲みに行くようにしています。

仕事に関しては、やる目的や意義をしっかり伝えるべきでしょう。男性は縦社会に従順な面があり、上から命じられたことは愚直にこなす傾向が強いですが、女性は違います。自分で納得しないと動きませんし、納得してやる仕事には男性以上に真面目に取り組みます。

実はいま、私の上司が女性なんです。職場はフリーアドレス制で、座席が毎日違うんですが、その上司は必ず1日1回は私の近くに来て挨拶してくれます。時には声をかけず、ちらりとこちらを見て去ることもあります。

何かあったらすぐ相談して、というメッセージなのでしょう。こういう細やかな気遣いを見習いたいと思っていますが、なかなかできませんね(笑)。

菅原信康●カルビー
人事総務本部人財開発課課長

「トップダウンで女性管理職急増」
(荻野進介=構成 市来朋久=撮影 PIXTA=写真)
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