【J】実はね、かつて同じようなことを言った人がいるんです。石田ゆり子さん。石田さんも、「ウソをつくと心に負荷がかかるから、私はウソはつかない」と言っている。高城さんは発言当時20歳ですが、ゆり子さんは30歳を回っていたんで、さらにもう一歩踏み込んで「ウソをつくぐらいなら黙っていたほうがいい。黙ることがどれだけ勇気がいることか」という名言を残しました。

【GO】Jさんはウソをつかずに何でもしゃべる。僕は完全に黙る。2人ともウソはつかない(笑)。

【J】そうだね。そうそう。豪ちゃん、わりと黙るんですよ。優れたスポーツマンって基本的にオープンマインドでしょう。自分と他人との間の境界線とか、壁をつくらない。ある意味無防備。落合(博満)とかノムさん(野村克也)とかは、思ったことを全部口にするよね。エモやん(江本孟紀)もそうですけれど。名言がどうして生まれるかといったら、思ったことを全部口にするからですよ。頭の中で咀嚼していたら、笑える名言は生まれない。

【GO】言葉を推敲したり、熟成させちゃいけないわけですね。思いついたら即、口に出せ。

【J】プロ野球の解説って、プレーの間をいろんな話で繋がなきゃいけないでしょう。するとそのなかには思いつきかもしれないけれど、人生訓のような言葉も飛び出すんだろうね。だから、野球解説にはノムさんの「鈍感なことは最大の罪だ」のような名言が多く生まれるんだと思うんです。

【GO】間を繋ぐ能力が高い。

【J】落合の言葉もいいんだけれど、彼がすごいのは、誰の評価も求めてないこと。日本シリーズで、あと3人抑えたら完全試合という山井(大介)投手をクローザーの岩瀬(仁紀)に代えたことがあったでしょう。試合を見ていた全員が驚いた。でも落合は外野を一切気にしてない。勝つこと。そこしか見ていない。

【GO】野球選手がみんな銀座に飲みにいっているのを笑った発言がありましたね。「バカだろう、あいつら、あんなところで高い金出して酒飲んで。風俗だって飲めるんだ」と。極めて合理的な発想で生きている。

【J】そんな落合を、ノムさんは「みんな変人だとか、おかしいとか言うけれど、落合が合っているんだ。あとのやつらが全部間違っている」って。落合もノムさんも、人と合わせることに関心がない。そういう姿勢が表れた言葉に感動するとともに、やっぱりどこか変というか、笑ってしまう部分があるんですよね。

【GO】他人の価値観にこだわりがないからですかね、2人とも世間的にはどうかと思う人を嫁にしている。でも、外野は全く関係ないわけじゃないですか。「どうしてあんな嫁を」って言われても、「それがどうした」っていう人たちだから。