プロデュースした人 森 啓氏(LINEコンテンツ事業部長)

東日本大震災のとき、既存の通信手段が十分に機能せず、多くの人が不安を抱きました。身近な人と強固につながることのできるサービス――「LINE」の開発は震災後、スピードアップしました。

ほどなく、2011年6月23日にはサービスを開始。とにかく世に出すことを急いでいたので、当初のサービスはテキスト機能のみ。その後に、無料電話などの機能を段階的に追加していきました。

現在、登録ユーザー数は世界5億人超。起爆剤の一つとして欠かせないものは、「スタンプ」です。これは、従来のフィーチャーフォンで使われていた絵文字のような機能を追加しようという構想の中で、携帯電話よりも画面の大きいスマートフォンの特性を生かそうと生まれました。直接会って話をするとき、人は話の内容だけでなく、表情や声色などから、微妙な感情を読み取ります。スタンプは、絵文字キャラクターが身振り手振りや表情で、文字では伝えにくい感情も表現できるようデザインされています。

LINEはコミュニケーションを楽しむためのアプリです。では、コミュニケーションとは何か。私たちは、家族や恋人など、親密な関係の人との絆をさらに深めるものだと考えています。だから、スタンプに入れる表現は、「おはよう」「ありがとう」など、毎日頻繁に交わされるものが中心。文字にすると照れくさい愛情表現、重々しくなる怒りの表現なども気軽に使えるよう、ユーモラスにキャラクターに表現してもらうバリエーションも盛り込んでいます。