〇が多い人は「ナイスガイ」(自己診断テストの一例) 出所:ロバート・A・グラバー著『「いい人」たちの憂鬱』

誰しも「いい人」でありたいと願うもの。しかし、「いい人なんだから愛されるはず」と期待してしまうとなると話は別のようだ。

他人を意識し、認められることに腐心する心理状態を「ナイスガイシンドローム」と呼ぶ。これは心理療法医のロバート・A・グラバー氏によって米国で広まったが、この心理状態が続けば、人間関係が壊れたり、無気力やうつにつながるという。

「善人が人のためにがんばっても報われないときに傷つくのは、その善意が『自己愛』によるものだから」と新潟青陵大学大学院・碓井真史教授は説明する。善意に満ちていても自己肯定感が低ければ、報われないと物足りなく感じてしまうのだ。

「マザーテレサならそんなことは思わないだろう」(碓井氏)

もともと同調圧力が強い日本では、「SNSの流行が人々の承認欲求を加速させている。相手に気に入られ、認めてもらおうと、何でも『うん』と言ってしまう“イエスマン男子”、つまりナイスガイが増えている」と作家・心理カウンセラーの五百田達成氏は話す。とはいえ、どうすれば克服できるのか。「日本人は『意見を否定される=人格を否定される』と考えがち。自分の芯がぶれなければ、必要に応じて“バッドガイ”にもなれるはず」(五百田氏)。

(ライヴ・アート=図版作成)
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