40年前、30代のときに書いたベストセラー『企業参謀』は世界のリーダーのバイブルとなった。国をも動かす名参謀の力量とはどんなものか。

マハティールの参謀として日本を見る

大前研一●1943年生まれ。神奈川県立翠嵐高校卒。早稲田大学理工学部卒業、東京工業大学大学院で修士号、マサチューセッツ工科大学大学院で博士号を取得。日立製作所を経て、マッキンゼー&カンパニーでは、日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任。現在、BBT大学学長。

参謀の使われ方もいろいろある。大将が戦略やアイデアを持っていて、それを実現するために力を貸してほしいと要請される場合もあれば、ゼロベースで戦略を立案したりアイデアを考えてほしいということで招聘される場合もある。

私が「参謀役」を引き受けてきたのはもっぱら後者のパターンだ。クライアントの立場、ポジション、考え方、能力、実行力などをトータルに推し量って、「この人は何をやるべきなのか」「この大将ならこんなことをやったら素敵だな」と思うようなアイデアを考えるのだ。