日経一面にドカンとバッドニュース!

――ネット証券などで株の空売りが簡単にできる現在、株で儲ける手段はグッドニュースばかりではないはずだ。スキャンダル報道などの悪材料を逆手にとる方法はないか。FISCOリサーチレポーター・飯村真由氏に伺った。
FISCOリサーチレポーター 飯村 真由

企業のスキャンダルや不祥事の発生は売り材料となり、株価の下落を招く。とくに日本経済新聞の一面トップの記事は影響力が大きく、過剰反応が起こりやすい。しかし、デイトレードの場合は単純に空売りを仕掛ければ儲かるとは言いきれない。ネガティブな記事を見て「売りだ」と判断した投資家があまりに多いと、寄り付き(1日の最初の売買)が安くなりすぎてしまい、それ以上には下げないということがよくあるからだ。

具体的事例としてベネッセの個人情報流出事件を見てみよう。個人情報流出の報道が出た今年7月9日の終値は4360円。翌朝の寄り付きは4080円と大きく下げて始まった。ところが、その日の終値は4145円。最安値は始値の4080円であったのだ。朝方に売り仕掛けをしたデイトレーダーは失敗したことになる。このように前日の終値から大きく値を下げて取引が始まった場合は、過度な下落と捉え短期のリバウンドを狙ってくるプロの投資家もいる。ネガティブ報道を目にしたからといって安易に売りで参戦すると、超短期的には失敗するリスクがあることを覚えておきたい。

2011年に起きたオリンパスの粉飾決算事件を振り返ってみよう。社長職を解任されたマイケル・ウッドフォード氏が異常な企業買収と会計処理の実態を公表すると株価が急落した。10月13日の終値は2482円であったが、20日には1321円とたった1週間で半値近くまで下落。巨額の損失隠しは非常に悪質で上場廃止になる可能性が高いと報道されていたからである。11月10日に四半期報告書を提出期日の14日までに提出できないと発表したことで、東証は同社株を監理銘柄に指定。これにより上場廃止懸念がいっそう高まり、翌11日には424円の安値をつけた。しかし、行政処分の検討が報じられ上場維持の可能性が伝えられると株価は反発を開始する。その後、延長期限であった12月14日に中間決算を発表し、翌年1月20日に上場維持が決定。一連の事件は終止符を打った。