「自分が早く結婚したほうがいいんじゃないか」「産めないのか」──。
東京都議会のセクハラやじ問題は、自民党議員が発言を認め謝罪したが、ほかのやじについては関与を否定。全容解明は困難とされ、真相は藪の中のまま幕が引かれた。騒動から4カ月が経ったいま、一方の当事者である塩村文夏都議(みんなの党)が、いまだから明かせる顛末をプレジデント誌に初めて明かした。

薄汚いヤジを浴びせられた私!

東京都議会議員 塩村文夏さん

1年あまり前、私は都議会議員になりました。それまでは普通の市民感覚で生活していましたが、議員になって驚いたのは、議会でのやじのひどさです。委員会であれ本会議であれ質疑の途中で、与党が与党に対し「いい質問だ」という声が飛ぶことはありますが、同じような質問をする野党議員には、

「誰がそんなこと言ってんだ」
「頭おかしいんじゃないか」

などと、思いもしなかった言葉が飛び交うんです。耳を疑いました。議員バッジをつけて、公式の場でこうした発言をする。政治家がこんなことを言うとは、まったくの想定外でした。敵視された瞬間に、物凄い下品なことまで言われ攻撃にさらされる。女性に対しては、平気で蔑視が行われる。それが今回のやじ問題の背景にはあり、民主主義の現実の一端がここにあります。

あのとき私は、女性都民の声を代弁して訴えている途中でした。それを聞いてもらえないどころか、笑いながら心ない発言をされ、やじの連鎖を楽しむ議員がいたのは事実です。まるで多勢に無勢、針のむしろのようないじめ状態で、私はどうすることもできませんでした。とても痛くて辛い不妊治療の相談者の顔が頭に浮かび、本当に申し訳ない気持ちになるのと同時に、自分のことのように悲しくなりました。

思うに、普段考えている本音がやじになって飛び出してしまったのではないでしょうか。ぽろっと出てしまった深層心理のような感じです。私は厚生委員会に所属していますが、待機児童問題などではいまだに「子どもは家で育てるもんだ」とやじが飛びますから。