軽減税率こそが消費税の抱える問題を解決するがごとく取り上げられるが、どの分野に何%の軽減税率を適用すべきかなどは所詮、枝葉末節。本質は消費税増税が必要か否かにつきよう。

製造業の多くが海外に生産拠点を移した現状で輸出優遇策を採用しても、一般国民はその恩恵にあずかりにくい。GDPにおける輸出比率が米国に次いで最も低い部類に日本が入る以上、当然の帰結なのだが、昨今の円安のステージで輸出が日本経済をバラ色にする、貿易立国=外需依存型経済というのは神話だったと多くの国民が実感したことだろう。外需依存でない以上、日本は内需依存型経済である。消費税は国内消費を減退させ、内需関連事業者から徴税するため国内景気を一気に冷やす。軽減税率の適用ではこの根本的な問題の解決にはなりえない。

軽減税率推進派は消費税の逆進性を解消する最良の方法とするが、であれば消費税を採用しなければいいだけの話だ。特に食料品など生活必需品0%税率は正鵠を得ていると思われがちだが、食料品を家に持ちかえれば0%、外食は10%の消費税では、海外にチェーン展開している大手を除いて外食産業は大打撃を受ける。長引く日本経済の低迷で市場が縮小する中でも23兆~24兆円の規模を維持している外食産業は雇用の受け皿となってきた。軽減税率の採用は小規模店舗の廃業、雇用情勢の不安に通じよう。

ちなみに、消費税・付加価値税は不公平税制であるとして採用していない米国だが、ウェイデンバウム財務次官補(当時)名で書かれた1969年の内部文書に消費税・付加価値税の反対の論点として「適用除外の過剰な要求がなされ、(要求を受け入れれば)管理が複雑になる」を挙げた。軽減税率陳情合戦の実情を見事に予見している。

ここにきて景気に関するメディアのトーンがややマイナスに傾いているが、消費税10%が覆されると考えるのは早計だ。結局は「ガス抜き」に利用されないか。法案となっている以上、論調がどうであれ凍結法案が通されなければ、既定路線はまず変更されない。本気で国内経済の増強を訴えるなら実質的手段を講じてもらいたい。