今年6月、フランス議会でオンラインでの書籍販売における配送無料サービスを禁止する法案が可決した。巷では“反アマゾン法”と呼ばれ、表面上は「文化の保護」が目的だが、実質は「町の本屋」を守る法律である。

アマゾンは世界中で火種を生み出しているが、特にフランスは小規模書店が多いということが法規制の背景にある。今回の規制が文化に与える影響について、電通国際情報サービスの飯田哲夫氏は、「反アマゾン法はフランス国民が広い知見を得ることの妨げになり、またネット関連企業の活動を制約することになる点で、文化の擁護というよりも、文化の発展を停滞させるのではないか」と懸念する。

アマゾンは書籍の電子版デバイス「Kindle」のほうでは、3G回線を無料提供している。(ロイター/AFLO=写真)

経済面でも「規制の効果は短期間にとどまると思われる」と明治学院大学経済学部・丸山正博教授は語る。国際取引が可能になるため、一国の法規制で競争回避できる余地は限られていることに加え、「ポイント提供」などの形でアマゾンが法規制に対抗することができるからだ。

実際、7月に入ってアマゾンは、書籍を含む注文1件につき、送料を1ユーロセント(約1.4円)に設定して抵抗を開始した。今後フランス以外で同様の法規制が行われても、同じようにいたちごっことなる可能性が高い。