2014年7月15日(火)

「個人情報」は同意なしに使ってもいいのか

PRESIDENT 2014年8月4日号

著者
山本 一郎 やまもと・いちろう
評論家

山本 一郎1973年生まれ。96年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わり、現在は株式会社データビークル取締役、東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員などを務める。『ネットビジネスの終わり』(Voice select)、『情報革命バブルの崩壊』(文春新書)など著書多数。

執筆記事一覧

答える人=評論家 山本一郎
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「匿名化」されれば個人情報ではない

プライバシー問題について、重大な転機が来ていることはご存知でしょうか。政府は、インターネット上にある「ビッグデータ」の活用を進めるため、年内にも個人情報保護法の改正を目指しています。改正の焦点は、企業によるデータの利活用が可能になる道筋を明らかにしながら、ユーザー本人に無断で第三者へのデータ提供がなされたり、同意なしに本人特定ができない仕組みを作ることです。

携帯電話やインターネットの利用履歴、公共交通機関の乗降データ、カーナビで記録される位置情報など、膨大な量の「個人に関する情報」が記録されるようになっています。こうした「ビッグデータ」の活用は、日本の産業競争力を高める意味でとても重要です。

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「ビッグデータ」への対応が急務!

法改正に際しては、「個人情報」と「個人に関する情報」の違いが議論となりました。「個人情報」とは、氏名、性別、生年月日、職業、家族関係などの事実に係るもの。一方、「個人に関する情報」とは、個人の判断・評価に関する情報も含め、個人と関連づけられる全ての情報を指します。たとえば、「××大学を卒業後、××会社で経理を担当。同僚からの評価は××。毎週末、××図書館で近代史に関する本をよく借りている」といった事実全体が含まれます。

ここで重要なのは、特定の個人を識別できるかどうか、という点です。現在の個人情報保護法では、「個人に関する情報」はすべて保護の対象になるとしています。しかし技術が急速に進展したことで、対応が間に合っていません。「ビッグデータ」の活用では、特定の個人との関連づけができないように、データの「匿名化」が欠かせませんが、その定義や義務づけも曖昧なままです。企業によっては、「個人に関する情報」を利用者に無断で集積し、「匿名化」が不十分なまま売買しているケースもあります。その結果、「あの人にはこんな趣味がある」という情報漏洩が、実際に起きているのです。

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