今夏の霞が関の注目人事は「櫻井パパ」こと、櫻井俊総務省総務審議官が総務省事務次官になれるかどうか。櫻井総務審議官は、国民的人気アイドルグループ「嵐」の櫻井翔の実父である。

テレビのニュース番組のキャスターを務めるなど、マルチタレントとして活躍中の櫻井翔は慶大経済学部卒。デビュー当時は旧郵政省幹部だった父親のほうが知名度が高かったが、人気が出るにつれて立場が逆転。いまや総務省内で櫻井俊氏は「あの櫻井翔君のパパ」で通っている。

「翔君のパパだから、きっとハンサムに違いない」と期待して総務省に足を運ぶ女性公務員は少なくないが、「たいていはガッカリして帰る」(総務省関係者)のだそうだ。

櫻井俊氏は現在60歳。群馬県出身で東大法学部卒後、旧郵政省入省。総務省・総合通信基盤局長などを経て総務審議官に就任した。

総務審議官は事務次官に次ぐポストで現在3人いる。旧郵政省出身の櫻井氏(1977年入省)と吉崎正弘氏(同79年)、旧行政管理庁出身の田中順一氏(76年入庁)だ。総務省は旧自治省、旧郵政省、旧総務庁(行管庁)からなり、3省庁のたすき掛け人事が行われている。ただ旧省庁間の力関係が反映、従来は旧自治省と旧郵政省がほぼ交互に次官を出し、旧総務庁出身次官は過去に2人だけ。現在の岡崎浩巳次官は旧自治省出身だ。

総務省関係者によると、櫻井氏が入省した77年組は「10年に一度の逸材揃い」で、なかでも櫻井氏は入省当初から「将来の次官候補と呼ばれたエース中のエースだった」(同関係者)。櫻井氏は温厚な性格だが仕事は確実に処理。「上司から信頼され、部下からも慕われる理想のリーダー」(同前)だという。

「旧郵政官僚は櫻井氏の次官就任を組織を挙げて応援している。旧行管庁出身の田中氏は弱小官庁の出身の悲哀で、官邸の支援を得にくく、次官就任は容易ではない。しかも旧自治省出身の総務審議官もいない。順当なら櫻井氏で決まりです」(別の総務省関係者)

他省庁との年次バランスから77年入省組の櫻井氏にとって、今回が次官就任のラストチャンス。孝行息子の櫻井翔も気が気でない?

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