2014年4月26日(土)

朝食や出社時間と、営業成績に「相関関係」はあるか?

プロの分析スキルで「ひらめき」をつかむ [演習編]

PRESIDENT Online スペシャル /PRESIDENT BOOKS

著者
水越 孝 みずこし・たかし
矢野経済研究所 代表取締役社長

1961年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。1989年、矢野経済研究所入社。「ヤノニュース」編集長、営業本部長、生活産業調査本部長などを経て、新規事業部門である戦略事業推進本部の発足にともない、本部長に就任。ビジネスソリューション事業の立ち上げを担当。2005年、代表取締役就任。論文などの寄稿、講演実績も多数。

株式会社 矢野経済研究所
1958年、矢野雅雄により創業。「調査能力をもって日本の産業に参画にする」を経営理念に、国内外でリサーチ活動を展開する日本を代表する独立系市場調査機関。要産業のすべてに専門の研究員を配置。フィールド調査に軸足を置いた現場本位のマーケティング情報は、産業界から高い信任を得ている。

矢野経済研究所代表取締役社長 水越 孝
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統計を学びたいけれども、数式アレルギーが……。そんなビジネスパーソンは少なくありません。でも、大丈夫。日常よくあるシーンに統計分析の手法をあてはめてみることで、まずは統計的なモノの見方に触れるところから始めてください。モノの見方のバリエーションを増やすことは、モノゴトの本質を捉え、ビジネスのための発想や「ひらめき」をつかむ近道です。
統計的なモノの見方や、考え方、発想法は、思い込みに走りがちな人や「木を見て森を見ない」人、あるいは細部に注意を払わないタイプの人にとっては、それぞれの欠点を補ってくれる武器になります。
せっかくですから、実際に統計のスキルを使ってみたいと思いませんか。ここでは、エクセルが操作できる人であれば誰でもできる簡単な計算に挑戦してみたいと思います。

営業第1部の近藤部長はここ数カ月間、予算達成に苦戦しています。

メンバー7人のうちいつも3人が目標に届きません。Aさん、Bさんの2人が予算比110%近い数字で部の業績を引っ張ってくれていますが、2人ともこの状況をやや負担に感じ始めています。

「このままでは部の予算はもちろん、やる気のある社員の士気を維持することも難しいのではないか」と近藤部長の危機感は募るばかりです。

そこで、いつも成績上位のAさん、Bさんの行動を全員に真似させれば部門が活性化できるはず、と考えました。

近藤部長は、Aさんがいつもしっかり朝ご飯を食べてくることを知っています。また、Bさんは部で一番早く出社しています。そこで、朝食を食べ、朝早く出社する習慣をつけさせることを考えました。

短絡的ともいえる発想ですが、一方で、日頃から「データを重視しろ」と部下を指導していることもあり、何らかの裏づけをとろうと思いました。

会社はフレックスタイム制ですが、営業第1部は基本的に9時出社が不文律になっており、各人の出社時間は営業日報に記録されています。近藤部長はそれに加えて、朝食を食べたかどうかを日報に書かせることにしました。

図表1は、7人の3カ月間のデータです。

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(図表1)

xは「朝食を食べて出社した日数の比率(朝食率)」、yは「出社時間を定時との差で表した数字(出社時間)」です。マイナス10は9時10分前、つまり8時50分に出社したという意味です。zは「月次営業予算の平均達成率(営業成績)」です。

さて、これを見た近藤部長は、「案の定だ。E、F、Gは朝食をほとんど食べていないし、出社時間もギリギリだ。これじゃあ、予算など達成できるはずはない!」と納得しました。早速、部員全員を集めて檄を飛ばしました。

「明日から全員朝食をしっかり食べてこい。そして、遅くとも10分前には出社せよ! これは命令だ! よし、これで全員予算クリア間違いなしだ!」

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