ローソン代表権返上で同友会代表幹事就任に現実味

経済三団体のひとつ経済同友会の次期代表幹事人事に、にわかに注目が集まっている。

同友会で現在、副代表幹事を務めるローソンの新浪剛史最高経営責任者(CEO)が、同社の5月1日付人事で代表権を持つ会長に就き、同月27日付で代表権を返上するためだ。同友会の長谷川閑史代表幹事(武田薬品工業社長)は、来年4月に2期4年の任期が満了し、「ポスト長谷川」が取り沙汰されるタイミングだけに、新浪氏の同友会次期代表幹事就任に現実味が増してきた。

ローソンの代表権返上について、新浪氏は同社の社長となる玉塚元一最高執行責任者(COO)との「二頭体制にならないように」と強調する。憶測を呼ぶ財界活動へは「財界は私の年齢(55歳)ではまだ先の話。今より重きを置くことは考えていない」と表向き無関心を装う。しかし、2002年にトップに就き、同社を牽引してきた新浪氏の代表権返上は、財界内ではポスト長谷川に名乗りを上げたも同然との見方がもっぱらだ。

さらに、同友会は昨年12月、4月25日の通常総会で選任する副代表幹事の新体制を内定。通常は任期2期4年のところ、新浪氏については3期目の続投を決めた。次期代表幹事含みかどうかは定かでないにしろ一定の説得力はあり、憶測を広げる要因になっている。

対抗馬には、副代表幹事の小林喜光・三菱ケミカルホールディングス社長が挙がる。ただ、67歳の年齢では新浪氏と比べ若返りは訴えられない。しかも、経済3団体のうち日本経済団体連合会(経団連)の現会長、次期会長、日本商工会議所の会頭はともに重厚長大型の素材産業出身者。革新色が売りの同友会トップまでが素材出身となれば、民間主導で日本経済の変革を進めるうえで「いかにも座りが悪い」(財界関係者)との指摘も。

新浪氏の最大の弱点は、流通業出身であることだ。「『技術立国』日本を代表する経済団体トップは、製造業出身がふさわしい」(同)との意識が根強い。しかし、同友会の会員資格は経営者個人。企業単位で組織する経団連と性格は異なる。これまで富士ゼロックス、日本IBMと外資系から代表幹事を迎えるなど流通出身のトップを誕生させる柔軟性は備えており、その行方が注目される。

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