2014年3月11日(火)

次につなげる「雑文力」の磨き方

NOと言わせない実践文書教室[5]

PRESIDENT 2012年3月19日号

著者
嶋 浩一郎 しま・こういちろう
博報堂ケトル代表取締役社長・共同CEO

嶋 浩一郎1968年生まれ。上智大学卒業後、博報堂入社。企業のPR・情報戦略に携わった後「広告」編集長を務め、2004年に「本屋大賞」を立ち上げる。06年博報堂ケトルを設立。著書は『企画力』『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』など。雑誌「ケトル」の編集長も務める。

博報堂ケトル代表・共同CEO 嶋 浩一郎 構成=飯島裕子 撮影=向井 渉、宇佐見利明
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「内容はいいのになぜか相手に伝わらない、企画が通らない」。ちょっと待って! その思い込みを捨てることから始めよう。「いいものと通るものは違う」と断言し、通すコツを教えるのは「本屋大賞」の仕掛け人・博報堂ケトル代表の嶋 浩一郎氏だ。

仲よくなりたい、距離を縮めたいと考えている仕事相手に送るメールは難しい。アポや業務連絡ならすらすら書けるのに、会話でいえば雑談に当たるものを入れようとすると、手が止まる人は多いのではないか。一度飲んだ相手に、用件だけですますのも悪くない。だが、ちょっとした一文で関係がぐっと変わることもある。僕は「一見仕事に関係なさそうだが、実は関係あること」を入れるのがいいと思っている。

ここでメール遣いの達人を紹介しよう。放送作家・小山薫堂さんの元秘書なのだが、彼女からメールをもらった人はほぼ全員、「僕に気があるに違いない!」と思ってしまう。

彼女のメールには、特に変わったことは書いていない。「小山がこのプロジェクトの成功をとても楽しみにしています」といった何気ないものだが、僕にしか響かない一言が入れてある。その一言で「僕のことをわかってくれている」と仕事へのモチベーションが上がる。大げさな褒め言葉でも洗練された言葉でもない。相手と1対1で接するメールだから伝わる、心に響く言葉なのだと思う。

趣味やプライベートの話をすれば距離が縮まると思っている人もいるようだが、読み手に関係のない話は迷惑なだけ。肝心な部分を読み飛ばされる危険もある。書くことが浮かばないなら、潔く用件のみでもいい。会ったとき丁寧に対応していれば、「メールでは素っ気ない人」と思ってもらえる。

「一見仕事に関係なさそうだけど、実は関係あること」の見極めには相手を観察するしかない。言葉の選び方のところでも述べたが、それを読んだときどう感じるかを想像することから始めてほしい。

●だめな「雑文」の見分け方

1.自分本位になっていないか
2.「とりあえず」感がないか

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