2014年3月12日(水)

すべての情報を遮断して、自分の頭だけで思考せよ

2014年、絶対やるべきことリスト[3]

PRESIDENT 2014年2月3日号

著者
楠木 建 くすのき・けん
一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授

楠木 建1964年東京生まれ。1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。専攻は競争戦略とイノベーション。日本語の著書に、『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)、『知識とイノベーション』(共著、東洋経済新報社)、監訳書に『イノベーション5つの原則』(カーティス・R・カールソン他著、ダイヤモンド社) などがある。

執筆記事一覧

一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授 楠木 建 構成=村上 敬 撮影=澁谷高晴
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昨年は景気の好転が見られたが、依然、将来への心配は尽きない。10年後も安定した暮らしができるようにいますべきことは何だろうか。

将来を不安にさせる「犯人」は誰か

一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授 
楠木 建氏

これから大変な時代に入るので、自分のキャリアを設計し直さなくてはいけない――。もうしそう考えているとしたら、慌てずに冷静になってもらいたい。「これからは時代が変わる。従来のやり方は通用しない」というもの言いは、何もいまに限ったものではない。試しに「PRESIDENT」のバックナンバーをチェックしてほしい。おそらく毎年、「いまこそ激動期!」と読者を煽っているはずだ。もっと遡ってもいい。過去1800年くらいの間、「いまこそ安定していて楽な時代」という理解が世の中に定着していたときはない。大変だと感じているのは、いまのあなただけではない。生きるとは、そもそもそういうことなのだ。

環境が年々悪くなっているというのも、錯覚にすぎない。昔は仕事も安定していて暮らしやすかったという人は、『三丁目の夕日』の時代に戻るといい。当時のほうがお金はなく、生活は明らかに苦しかった。

僕は幼少期を南アフリカで暮らした。父親が機械部品のメーカーに勤めていて、南アフリカに駐在していたからだ。高度成長期、日本人は世界中、地の果てまで出かけてビジネスをしていた。当時は1ドル360円の固定レートだから、日本を出た瞬間にド貧乏になる。みんな英語だってろくに話せないし、クロスカルチュラル・マネジメントの知識もない。それでも海外に突撃していく。まさにグローバル2等兵だ。

当時の日本人は、なぜ苦しい思いまでして海外に出たのか。最大の理由は、日本にいてもいいことがなかったからだ。日本の市場は限られていたが、海外に行けば商売があったから、やむなく出たにすぎない。いま、お隣の韓国で起きていることだ。

裏を返すと、いま日本人が外に出ていかないのは、日本が居心地のいい国だからだろう。グローバル化しないとヤバいと騒ぎつつ、みんな日本で暮らすことがベストな選択だと心の底では思っている。これほど住みやすい国はそうそうないだろう。

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