2014年3月11日(火)

自分の価値をかけ算して「レアな人材」になれ

2014年、絶対やるべきことリスト[2]

PRESIDENT 2014年2月3日号

著者
藤原 和博 ふじはら・かずひろ
教育改革実践家

藤原 和博1955年、東京都生まれ。都立青山高校、東京大学経済学部卒業。リクルートに入社し新規事業担当部長、出版社メディアファクトリーの立ち上げなどを経験。同社フェローを経て2003年から5年間、杉並区立和田中学校校長。16年春、公立高校の校長に就任。

教育改革実践家 藤原和博 構成=村上 敬 撮影=澁谷高晴
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昨年は景気の好転が見られたが、依然、将来への心配は尽きない。10年後も安定した暮らしができるようにいますべきことは何だろうか。

いまの自分の「時給」は?

教育改革実践家 
藤原和博氏

10年先のキャリアを考える前に、まず確かめてほしいことがある。現在の自分の時給だ。去年の年収を総労働時間で割ると、おそらくサラリーマンの多くは2000~5000円前後に収まるはずだ。

ここで日本人の時給を考えてみよう。ファストフード店でバイトすると、時給約800円。プログラマーや介護福祉士は2000~3000円、優秀な塾講師や家庭教師で5000円ぐらい。弁護士などの高度な専門職になると、一気に上がって約3万円。マッキンゼーのシニアコンサルタントだと1時間8万円取る。日本人の時給にはおよそ100倍の差があり、一般的なサラリーマンは、東大に合格させる家庭教師の大学生と同じか、その下というのが実態だ。

時給の差は、1時間の労働が生み出す付加価値の差と言っていい。では、付加価値は何によって決まるのか。それは希少性だ。ファストフード店のバイトはほかにできる人がたくさんいるため、時給800円。一方、大前研一さんや堀紘一さんといったトップコンサルタントは、ほかの人と取り換えがきかない。だから人々は彼らに時給8万円を払う。

そのことを前提にすると、「転職すればキャリアアップになる」というよくある考えは甘いとわかる。同じ職種で他の会社に転職しても、自分の希少性は変わらない。そうした転職を繰り返せば、むしろ年収が下がってじり貧になっていくだろう。

レアな人材になって付加価値を高めるには、まずいまの仕事で100分の1の人材にならなくてはいけない。100分の1と聞いて腰が引けるかもしれないが、実はそれほど難しくない。マルコム・グラッドウェルは『天才!成功する人々の法則』で、さまざま実例をあげながら、どんな人もある分野について1万時間練習すれば、その道のマスターになれることを示した。1万時間は、1日8時間、年間200日働いたとして約6年。営業でも、経理でもいい。多少の個人差があるかもしれないが、その仕事を少なくても10年真面目にやれば、誰でも自ずと100人に1人のレベルに達するのである。

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