第3の分野は、従来の2分野から遠いものがいい。第3の分野が離れていると、3分野を頂点とした大きな三角形ができる。この三角形の面積が、あなたのクレジット(信任)だ。私たちは仕事をしていく中で「あの人なら任せられる」というクレジットを貯め、それを現金化して自分の収入にしたり、再投資して次の仕事につなげている。第3の分野を遠くに設定すれば、クレジットは増える。そうなれば一部を現金化するだけで生活できるため、残りをボランティア活動など、自分のやりたいことに注ぎ込むこともできる。それが自由というものだ。

一方、第3の分野が従来の延長線上にあったり、そもそも第3の分野がない人は、クレジット量が少なく、すべて現金化せざるをえない。年収がそこそこあっても苦しさがぬぐえない人は、クレジットの大三角形をつくれていないのだ。

人生を複線化する

将来のキャリアを考えるときには、希少性を高めるだけでなく、人生の複線化も欠かせない。人生が仕事一本の単線だと、その道が先細って狭くなったときに行き詰まってしまう。そこで会社のほかに、自分が属すコミュニティを複数つくり、人生に保険をかけておく。

私の例で言うと、本線の義務教育改革のほかに、地元のテニスや被災地支援のコミュニティで活動している。さらにシェアハウス・コーポラティブハウスを支援したり、腕時計やリュックの商品開発もやっている。2級ヘルパーの資格を持っているので、60歳を過ぎたら介護の世界にも踏み出そうと思っている。

できれば本線のほかに、30代で2本、40代で4本、50歳を迎えるころに5本くらいの道があると理想的だ。コツは、自分の好きなものを蒸し返すこと。たとえば昔、お花が好きだったのに仕事や子育てで忙しくて忘れていたというなら、40代でお花関係のコミュニティに入ったり、自分で花屋を開いてもいい。昔は花屋の開店に1000万円以上かかったかもしれないが、いまはネットで簡単に開店できる。