住宅金融支援機構のデータによると、2012年に住宅ローンの借り入れをした人のうち、5割前後が変動金利で借りている。一時は変動金利が1%を切って0.95%になったことが話題となったが、現在は0.775%という金融機関も出てきて一層の低金利合戦となっている。固定金利タイプの適用金利が1~2%程度なのと比べると、変動金利タイプのほうが低いため、こちらを選ぶ人は多く、不動産屋がすすめるのも変動金利のタイプだ(理由は、毎月の返済金額が一番低くなるから、客を説得しやすいためである)。確かに、低金利が続き、本格的な金利上昇局面がなかったここ十数年は変動金利のほうが有利だった。しかし、これからアベノミクスが功を奏して株価上昇、長期金利アップという事態になれば、住宅ローン金利の上昇も避けられない。
多くの銀行の変動金利タイプは、半年ごとに適用金利が見直され、返済額は5年ごとに見直される。5年間に金利が上昇していた場合には、6年目以降の返済額が上がるのである。半年ごとに見直される適用金利が上昇しても、すぐに返済額は増えない。ただし、返済額中に占める利息の部分が大きくなって、元金があまり減らない事態になる。図のように、適用金利が3.4%に上がってきたら、未払い利息が発生する可能性が出てくる。未払い利息とは、月々の返済額以上に利息がかかるようになる事態で、返済額を超える利息部分は未払いのままたまってしまうのである。
5年ごとに返済額が見直される場合も、月々の返済額はもとの返済額の1.25倍までしか上がらないというルール(1.25倍ルール)を持っている銀行が多い。もし、金利がそれ以上に上がっていたら、さらに未払い利息が膨らむことになる。ローンの元金は1円も減らないのに、逆に払っていない利息が上乗せされていくことになる。変動金利は、金利が上昇すると返済額が増える可能性があること、未払い利息が発生するリスクもあるということは知っておきたい。