2014年1月28日(火)

なぜ全日空は客室乗務員を正社員化したのか

PRESIDENT 2013年12月2日号

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早期人材育成と採用競争力の強化が狙い

「2012年にLCC(格安航空会社)元年を迎え、今後、航空業界は競争が一段と厳しくなる。その中で私たちと一緒に考え、働くことができる仲間をつくりたい」

全日本空輸(ANA)の取締役執行役員の河本宏子氏が丁寧な物言いながら、強い口調で語る。オペレーション部門副統括客室センター長として、6000人に及ぶ客室乗務員を率いる。

同社が昨年8月下旬に発表した、客室乗務員の採用形態の変更が話題を呼んでいる。6000人のうち、1600人ほどになる契約社員の採用制度を廃止し、今春から正社員雇用に切り替えるといったものだ。

契約社員の採用制度は、バブル経済が崩壊した1991年から数年後の、95年から始まった。河本氏が、制度導入の頃を振り返る。

「コスト競争の激しいグローバル化の中で生き残っていくことが難しいと判断し、さまざまなコストカットを試みた」

その流れの中で、契約社員の制度も始めた。この約20年間、ANAや日本航空(JAL)は客室乗務員を採用する際、当初の3年間は契約社員として雇い入れ、4年目を迎える際、本人の意向などを確認したうえで、希望者を正社員として受け入れるというもの。

希望者の大半が、正社員になることができる。3年の間、労働保険や社会保険、有給休暇、育児休業などの扱いは、4年目以降の正社員とほぼ同じである。

それでも、正社員雇用に切り替えるのにはいくつかの理由がある。その1つが、人材育成を強化し、早期育成を図るものだ。河本氏は、「今までも早期育成を強く心がけてきたが、これを機に若い人が伸びていくチャンスが一層、広がるようにしたかった」と語る。

これまでは、契約社員は機内業務を中心に仕事をしていたが、チーフパーサーと呼ばれる現場のリーダーになることはできなかった。今後は入社数年以内でも認められれば、それらをすることができる。

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