2014年1月9日(木)

成長しない限り存在意義はない -ファーストリテイリング会長兼社長 柳井 正氏

なぜ頭でわかっていて動けないか[1]

PRESIDENT 2011年1月31日号

著者
楠木 建 くすのき・けん
一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授

楠木 建1964年東京生まれ。1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。専攻は競争戦略とイノベーション。日本語の著書に、『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)、『知識とイノベーション』(共著、東洋経済新報社)、監訳書に『イノベーション5つの原則』(カーティス・R・カールソン他著、ダイヤモンド社) などがある。

執筆記事一覧

一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)教授 楠木 建=総括、分析・解説 小川 剛=構成
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 ビジネスがグローバル化し、商品がコモディティ化する時代にあって、多くの経営者から「生き残るために」とか「ざるをえない」という言葉が聞こえてくる。曰く、「生き残るために中国に進出する」「社内の英語スキルを高めざるをえない」と。かつてトランジスタラジオを開発した井深大と盛田昭夫は「ソニーが生き残るためにはアメリカで売らざるをえない」などと考えていただろうか。むしろ「こんないいもの、アメリカ人にも使わせてやろう」ぐらいの勢いで海を渡ったのだろうと思う。本田宗一郎も然り。ソニーやホンダが世界企業になりえたのは、自ら世界を志向し続けたからである。
 自分で決めたことを守り通して、物事を成し遂げる。マーケットプル(消費者の潜在的ニーズを具現化)かプロダクトアウト(消費者のニーズより生産者側の都合を優先)かという観点でいえば、「やり抜く力」とはプロダクトアウトに宿るものだ。もっとわかりやすく言えば「自分アウト」である。他者との相対的な関係性で動く「他人イン」ではなく、自分の内側から湧き出てくる絶対的な信念、あるいは大志や夢、つまり「自分アウト」が「やり抜く力」の源泉になる。

成長しない限り存在意義はない -柳井 正

柳井正●1949年、山口県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。84年、実家の小郡商事社長に就任。91年、ファーストリテイリングに社名変更。2002年から会長兼社長。

ユニクロは2010年に売り上げを1兆円にすると言いました。そう言った以上は達成しなくてはならない。ですが、1兆円は終着点ではありません。あくまで過程です。1兆円を超えても成長し続ける会社にすることが目的で、1兆円を達成したら、そこで終わりという意味ではない。会社は無限の成長をしない限り存在意義はない。私はそう考えています。そうでないといつのまにか組織が老化し、腐敗してしまう。

ヒットする商品をどう作るかに関していえば、ユニクロでは日々、開発しています。開発部隊がいますし、むろん僕や社員も考えている。なかなか難しいことですが……。世の中には商品が溢れ返っています。ほとんどの商品は売れないと思ったほうがいい(笑)。

では、どんなものが売れているかといえば、売る側が信じて売っているものです。「これ買ってください。これは絶対いいものです」。そう断言できる商品は売れます。反対に「これ、ちょっとまずいな」と感じた商品は売れません。

(2007年2月12日号 当時・会長兼社長 構成=野地秩嘉)

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