いよいよ中学受験シーズンがやってきた。関西や埼玉・千葉地域では本番まで残り1カ月前後。2月1日からの東京・神奈川地域でも残り約40日。わずかな日数だが、この年末年始の母親の対処次第で「子供の偏差値が急上昇するミラクルも起きれば、その逆もある」と語るのは、進学塾「VAMOS(バモス)」代表・富永雄輔さんだ。
わが子を合格させたいのはどの母親も同じ。「受かるママ」と「落ちるママ」の差は一体どこで生まれるのだろうか。富永さんと、1万回を超える受験の相談にのってきた受験ブロガーの鳥居りんこさんに話を伺った。

残り40日で、子供の成績も人間性も急成長させる母親の特徴として「器の大きさ」がある、と富永さんと鳥居さんは語る。試験前は、大人だってそわそわ緊張する。全部落ちたら、などと不安にもなる。だが、そんな心情をグッと自分の胸にしまい、子供のモチベーションが上がるような接し方に徹する「演技派女優」のような母親ということだ。鳥居さんはこうアドバイスする。

「母親は、受験前なのにやる気を見せない子供の態度に怒りが充満していても優しく持ち上げてみたり、逆に順調なときでもあえて尻を叩いてみたり。素の自分、本心とは異なることを、遅くとも本番の1週間前からはやるべきです。基本スタンスは、『いくよ、いくよ。ゴールを駆け抜けろ!』『これまで一生懸命やってきた、あなたなら絶対できるわ』『イザというときに力を発揮できるのが、あなた!』とテンション高めに笑顔で見守ってやることです」

演じ抜く。その決意が不可欠なのである。子供と一緒に合格鉢巻きをしたり、受験スローガンを書き込んだトレーナーを家族全員で着たり、ともに一歩一歩登山をするチームのような連帯感をつくり出して、全員が後悔しない受験を目指すのも意外と効果的だという。

それでも受験初日、残念ながら不合格となれば、「母親は人生最大のパニック状態になる」(鳥居さん)が、そんなときも虚勢を張り、あくまで主演女優として演じるのだ。

「『これをなめたら受かるよ』とあめ玉を渡したり、『これで頭の回転がよくなるのよ』とサプリを飲ませたり。もちろん根拠はありません。でもいいんです。あなたは必ず合格する、と“洗脳”する意気込みです」

緊張をほんの少しだけほぐしてやるだけで子供は変わってくる。そうしたメンタル面が中学受験本番では大きな影響を及ぼすのだ。ただ女優としては受験が失敗したときのことも想定しておくべきだと鳥居さんはいう。