私大文系出身、理系アレルギー男に業務命令!「1ヵ月で数字センスを身につけよ」――。数字、データ、グラフが使えないプレジデント編集部員がビジネスマン向けの数学講座に放り込まれた。数学を避け続けてきたツケが今、回ってきた!

「感覚」でしていたことが「理屈」でわかった!

講座を受けているうちに痛感させられたのは、なんとなく使ってはいるものの、その意味を理解していないものがけっこうある、ということだった。その最たるものが四則演算である。これらの計算は誰だってできる。でも「それぞれの性質は?」と聞かれて答えられる人はどれだけいるだろう。

[足し算]まとめるときに使う
[引き算]比べるときに使う
[掛け算]量を求めるときに使う
[割り算]質を求めるときに使う

僕にとってこの解説は目から鱗だった。たとえば、AからBを引くとAとBの差が算出されて比較ができるようになり、AをBで割るとBの中におけるAの割合が算出されて質が明らかになる、というわけだ。自分のやっていることの意味が理解できるとその行為そのものが面白くなるように、定義を知ることで計算が面白く感じられるようになってきた。

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問題1

社会に出て数学なんて何の役に立つの、と学生の頃の僕は考えていた。でも講座が進むにつれ、その認識はどうも違うらしいと気付かされるようになった。

「次の問題で使用する考え方は、ある外資系企業の人が実際に用いて世界2位の営業成績をあげたものです」

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問題1の解説

近藤先生が、そんな前ふりをした後に出題したのが問題1である。5社分の「契約できる確率」と「予想売上高」の数字から、力を入れるべき営業先の優先順位を付けるという問題だ。

こうした場面では、単純に成功したときの金額が大きいものから優先したくなる。しかし、その状態が起こる確率(生起確率)がわかっているときは「期待値」によって意思決定を行うのだという。

期待値とはある試行を行ったとき、その結果として得られる数値の平均値である。要するにこの問題でいえば、「予想売上高×契約できる確率」で算出される金額である。その結果を見ると、単に予想売上高の大きいものから並べるのとはだいぶ異なる順番になることがわかる。この期待値の考え方は、仕事の優先順位を考えるうえで役立ちそうだ。