ただ、ちょっと疑問が残るのは、実際のビジネスにおいて「契約できる確率」なんて正確に出せるのだろうか。

図を拡大
問題2

「確かに、そこは主観に基づいているので微妙な面はあります。しかしベテラン営業マンであれば、主観でもかなり高い精度が出せます。最初の見積もりは大ざっぱでも、データを蓄積していって精度を上げていく、という方法もあります」

近藤先生はそう言う。なるほど、学校数学のようにきれいな正解は出せなくても、期待値の考え方を取り入れることで新たな視点を獲得し、よりよい判断ができるようになればいいわけだ。

図を拡大
問題2の解説

もう1つ、目から鱗だったのがグラフの活用方法である。誌面を構成する際によくグラフを作成しているが、グラフにはいろいろな形式がある。どの場合にどのグラフを使うかは正直、「なんとなく」で決めていた。ところが、グラフは表現する対象によって使い分けるものだと初めて教えられた(問題2参照)。

[棒グラフ]総量(規模)を表す
[折れ線グラフ]変化(傾向)を表す
[円グラフ]全体に対する割合(シェア)を表す

こうした知識を頭にインプットしておけば、データをグラフ化して表現するときにデスクから怒られる回数が減るかもしれない、と思った。

他の参加者はマネジャークラスの方が多い。なぜ、管理職の人たちが今さら数学の入門講座を受講するのかというと、「今まで感覚的にやってきたことを理屈を付けて説明できるようにしたい」といった理由が多かった。マネジャーになると部下の報告を受けたり、経営者にプレゼンする機会が増え、正確に数字を理解する力や効果的な表現方法がより必要になってくる。そこできちんと数学を学び直そうというニーズが生まれるようだ。