ドイツの強さの根源は連邦制にあり

私が主宰する経営者の勉強会、「向研会」の研修旅行で、10月半ばにドイツを訪ねた。

戦後68年間、同じ敗戦国である日本とドイツは、肩を並べるように経済成長してきたが、特にこの10年間で大きく差が開いたように思える。長期にわたって低迷し続ける日本とは対照的に、今なお国際社会でプレゼンスを発揮し続けているドイツの強さの秘密を探る――。それが今回の旅のテーマだった。

ドイツは13の州と3つの都市州(ベルリン、ハンブルク、ブレーメン)から構成される連邦共和国であるが、私たちは中央西部のヘッセン州、南西部のバーデン=ヴュルテンベルク州、南東部にあるバイエルン州の3つの州を回ってきた。

以前、「世界から尊敬されるドイツ、警戒される日本」(http://president.jp/articles/-/10282)で説明したように、「ドイツの強さの根源は連邦制という統治機構にある」と私は考えている。今回の研修旅行でも際立って印象深かったポイントの1つは、やはり「ドイツにおける州の強さ」だった。

戦後、ナチスの再来を恐れたドイツ占領軍は全体主義的な独裁権力が二度と生じないように、憲法に相当する「ドイツ連邦共和国基本法」を制定し、ドイツの中央集権体制を徹底的に解体した。アメリカの連邦制以上に州に権限を付与することで、権力が中央で1つにまとまることがないようにしたのだ。

今回、日本とドイツの違いを私なりに比較研究して、「そうに違いない」という結論に達した。旅行では、ドイツの経済政策に長らく携わってきた長老の1人にヒアリングする機会もあり、ドイツ連邦共和国基本法によって中央集権体制を叩き壊して、司法、行政、立法、徴税などの主権を州に与えたのは、「占領軍が明確に意識して行ったことである」という言質を得られた。