2013年11月9日(土)

TPP「混合診療解禁」で医療費はどうなる?

PRESIDENT 2013年10月14日号

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環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加表明している12カ国は、年内にも協定案に大筋合意すると言われている。交渉分野は、工業、農業、医療、金融、知的財産など多岐にわたるが、交渉は秘密裡に行われ、さまざまな憶測を呼んでいる。

医療分野で取り沙汰されていることの1つが、アメリカの要望で「混合診療が全面解禁」になるというもの。もしも、これを契機に混合診療が全面解禁されると、医療費はどうなるのか。現在、病院や診療所で受ける治療や医薬品のほとんどに健康保険が適用されている。これらは「保険診療」と呼ばれ、国が有効性と安全性を確認している。医療費の一部負担だけで、患者は必要な医療を受けられる。

対して、健康保険の適用を受けていないものは「自由診療」という。将来的に健康保険の適用を受けられる可能性の高いものもあれば、医療として怪しげなものまで玉石混交。当然、健康保険は使えないので、かかった医療費は全額自己負担だ。

日本では、この「保険診療」と「自由診療」を同時に使う「混合診療」を原則的に禁止しており、これを破ると通常なら保険が使える治療も全額自己負担しなければならない。とはいえ、ほかに治療法が見つからないがんの患者などは、健康保険が適用されていなくても新しい治療を試したい人もいる。そうした患者の選択肢を増やす目的で「先進医療」が導入されている。

先進医療は、保険適用前の自由診療でも厚生労働大臣が認めた医薬品や技術については、特定の医療機関において、保険診療との併用を特別に認めるというもの。先進医療の技術料部分は健康保険が適用されないので全額自己負担だが、同時に受けた保険診療は通常の一部負担金で利用できる。このように、すでに混合診療は部分的に利用できるようになっている。

ただし、現行の「先進医療」とTPPで導入の可能性のある「混合診療の全面解禁」は、保険診療と保険外診療を併用できる点は似ているが、異質のものだ。

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