我々は先祖からどのようなお金のDNAを受け継いだのか。そして世界屈指の商人であるユダヤ人や華僑とどこが決定的に違うのか。

華僑に根強い不動産信仰

マダム・ホー
ロサンゼルス在住の日本人投資家、作家、講演家。南カリフォルニア大学(USC)、UCLA両大学院修了。夫は東南アジア出身の華僑。著書『世界一愚かなお金持ち、日本人』は8万部のベストセラーに。
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ユダヤ人と並んで“世界3大商人”の1人に数えられるのが華僑だ。彼らの生き金と死に金の考え方について、マダム・ホーさんは華僑である夫の親族のエピソードを交えながら次のように語る。

「やはり、お金を使うだけの消費者ではなく、お金を生み出す事業家や投資家であろうと常に心がけています。ですから、単なる贅沢は『死に金』といって嫌がり、家族旅行に出かける際の飛行機は、ほとんどの場合エコノミークラスです。仮に親がファーストクラスであっても、お金を稼いでいない子どもはエコノミークラスに座らせるなど割り切っています」

華僑の先祖は故国の中国を出て東南アジアなどに生活の糧を求めた人々。移住先の国における立場はマイノリティーだった。そして、一族が集まって暮らすことで無駄な出費を省きながら、わずかなお金をコツコツと貯め、それを投資に回して増やしていくことが遺伝子のなかに組み込まれていったようである。

そうした彼らの生き金の投資対象についてホーさんは、「買った瞬間、または時間とともに価値が増えていくものです。たとえば、優良な不動産を適正価格よりも安く手に入れて賃貸に回せば、安定した家賃収入を得られるうえに、資産価値の上昇も期待できます。また、マイクロソフトやインテルなどの優良株を長期保有すると、会社の成長にともなう株価の上昇でミリオネアの仲間入りを果たせます」と説明する。

特に華僑の“土地信仰”は根強く、彼らは「土地は必ず富をもたらす」と信じている。華僑財閥などの研究を行う愛知大学現代中国学部の樋泉克夫教授は「どの財閥も中核事業の1つに不動産事業を据えています。彼らは金利の低い銀行預金にはほとんど関心を持たない。銀行に預けるくらいなら不動産に投資したほうがましと考えています」という。