デフレ不況、円高、震災……。企業をとりまく環境は厳しさを増す一方だ。業績マイナス要因がひしめくなか、売上高も利益も「増」という、いまどき稀有な「増収増益」企業が存在する。

そんな企業を牽引する経営トップにとって、今期のもっとも苦しい局面でひらめきをもたらし、進むべき道を照らしてくれた一冊とは何か。

プレジデント誌は2012年3月期の決算短信より「第1~3四半期」「通期予想」の売上高、営業利益が前年比よりアップしている企業50社をピックアップし、経営トップ(社長、会長、CEO)に対してアンケート用紙を送付した。質問項目は「この1年間、読んだ本のなかで、印象に残っている本は何ですか」「その本はどのような点で印象に残りましたか」「この1年間、よく読んだ本のジャンル」の3点。20社より回答を得た。

結果を見ると1つの傾向がある。歴史、科学など、目先の仕事とは一見、直接関係のない本が多く挙がっている。彼らの回答からその意味を探ってほしい。

丸紅 朝田照男会長のバイブル
『ザ・ラストバンカー』西川善文/講談社

安宅産業、平和相銀、イトマンの処理、バブル崩壊後の不良債権との格闘など、商社業界に身をおく当社も注目していた「あの出来事」について、西川元頭取(三井住友銀行)が実名を出して自分の主張を公にしたことに非常に興味を持った。

彼が歩んだ行員人生は、人事、企画、大型店支店長といった通常の行員エリートが歩む道とは異なっていたが、「不良債権処理のプロ」として頭取まで上り詰めた背景には哲学があった。

「会社の成長はリスクを取らないとありえない」「単なる満点主義、完璧主義では、会社の成長はありえない」──これらは私自身が日頃感じていることと同じであり、共感した。

丸紅会長 朝田照男
よく読むジャンル●その他(経済小説)