「妊娠の限界」を直視する

「30歳がちょうど昇進試験なんですが、昇進試験の前に産むべきか? それとも後にするべきか?」

こんな質問もよく受けます。女性としての「産み時」がちょうど仕事のターニングポイントとも重なっている。これは男性だけを考えた昭和型のキャリアモデルのせいです。

多くの会社の「女性活躍推進」セミナーなどに行きますが、「妊娠の限界」は「あいまい」にしたまま、産んで活躍するロールモデルの管理職が紹介されるというケースが多いです。しかし「妊娠の限界」という現実にきちんと目を向けないと、キャリアプランの立てようがありません。

あるセミナーでは、子どもを持って管理職をやっている女性たちのほとんどが「流産」と「不妊治療」の経験者でした。中には「それがキャリアのためなら当たり前」と思っている人もいるぐらいです。それでも、ロールモデルとなっている彼女たちは「ラッキーなケース」で、そのまわりには、「結局子どもを持つことができなかった」もっと多くの女性たちがいるわけです。

別の長時間労働で有名な会社では、27歳の若い社員が流産しました。「いや、マジ、この会社では産めない」と転職も考えています。帰宅は毎日夜10時をまわり、終電での帰宅も週に2回以上あるそうです。