「たまには、ほかの人のことを考える」ことから

事業に際しても、自分ばかり儲けよう、利益を上げようとするのではなく、協力して働いてくれる人を大切にし、お客さんによかれと思うことをする、将来のために投資をすることが、長い目で見て事業が繁栄し、持続的な利益を生みます。

自分の利益を増大させるために有名人や権力者と知り合い、相手を利用しようとする姿勢では、かえって警戒され、評判を悪くしてしまいます。

「わかった、理想論としてはそのとおりかもしれない、でも現実に利他的に行動するのは難しい」と思う人が多いかもしれません。たしかに人間は目先の利益に飛びつきます。

美味しいものがあったらむさぼりたくなります。異性には自分だけよく思われたいと思うのが自然の感情です。

そんなふうに、自然の感情や欲望に負けて、利己的な行動を取ってしまうのを完全になくすことはできません。

だから、しかたがないとあきらめてしまわないで、意識して自分の自然な欲望――煩悩を少しだけコントロールするよう努めることです。これが人間の優れているところです。

坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)
坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)

ほんの少しだけでいいのです。少しだけ利他的に行動していると、自分も幸せになり、ひたすら利己的に行動している以上に幸せになれるのです。

いつもいつも利他的な心を持ち続けるのは不可能でも、一日に一度だけでも「今日は何か人のためによいことをしただろうか」と振り返ってみる。「自分でも何かできることがあるかな」と、たとえば、お風呂のなかで考えてみたり、布団に入って眠る前に考えてみたりする。

こんなふうに意識すると、必ず、自分がほかの人にやってあげられることがあるのに気づきます。気づけば行動することができます。それが習慣になると、すばらしい結果が生まれるはずです。

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