基準値はコロコロ変わっている
ここまでをまとめます。厚生労働省は昔から何度も飲酒量の基準を示してきましたが、基準値はそのたびごとにコロコロ変わっています。
しかも今回は10年以上前の基準値をなんとなく紹介しているだけで、いったいどれくらいの量が適切なのかはうやむやのままになっています。
そしてどうやら海外の事情も似たりよったりです。
わざわざ新しい飲酒量のガイドラインを作る目的が筆者にはよくわかりません。
酒は体に悪いに決まっていますし、そのことは誰でも知っています。「そんなことはない」と思う人は飲酒運転が禁じられている理由を思い出してください。
ガイドラインが飲酒量を決められないのは、「長年毎日飲み続けると、怖い病気になる確率が上がるだろうか」というきわめて抽象的な問いを立てているからです。
「酒は体に悪い」はみんな知っている
酒は体に悪いので、飲みすぎないほうがいいのは誰でも知っています。みんな知っていて飲んでいるのです。「ガイドラインが新しくなったから、明日からは酒を減らそう」と決意する人がいるでしょうか?
加えてこのガイドラインにはいくつかの深刻な問題を指摘できます。
第一に、ガイドラインが多すぎる状況に対する配慮があまりに希薄です。厚生労働省のガイドラインだけでも複数存在しており、どれを見ればいいのか、どれが本当でどれが嘘なのかもわかりません。